2024年 4月 25日 (木)

外岡秀俊の「コロナ 21世紀の問い」(31)僧医・対本宗訓さんと考える「生と死」

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古くからあった「僧医」という言葉

   「僧医」について対本さんは、ご自分のブログで、「身体を診る医師の目と、心や魂を観る僧の目を兼ね備えた存在です」と書いている。だが臨床の場で、その二つの立場が対立したり、矛盾したりすることはないのだろうか。そううかがうと、対本さんの答えは明快だった。

   「僧医」という言葉は対本さんが新たな意味を与えたが、もともと日本にある言葉だったという。

   かつて仏教が朝鮮半島経由で伝来した際、多くの僧たちの手で大陸の医学や薬学が伝えられた。渡来僧の中には薬草の知識などを駆使して治療をした人々もおり、それがのちに「僧医」の名で呼ばれるようになった。宗教も医学も未分化な時代だったので、加持祈祷の要素もあったろう、と対本さんは言う。

   対本さんは、未分化だった宗教と医療を現代に再現するというのではなく、「心と命のつながりを見失った今という時代に、より高い次元で再び統合させたい」と考えた。それが、現代における「僧医」の目指す理念だ。

   このため、医学部を卒業した後、対本さんは渡英して補完代替医療の臨床を学んだ。これは漢方の元となった中国伝統医学だけでなく、インドの伝統医学であるアーユル・ヴェーダや、西洋発祥のホメオパシー、アロマセラピー、ハーブセラピー、リフレクソロジーなど多岐にわたる。あくまで現代医学を基本としながら、その弱点や弊害を補い、効果が期待できない時や、生活の質を維持するために、できるだけ多くの選択肢を準備して、その人に合った一番適切な方法を選択するという「統合医学」や、「ホリスティック医学」の考え方である。イギリスではアレルギー治療、ガン治療、慢性疾患、生活習慣病など、様々な分野で補完治療が取り入れられており、対本さんは各国から派遣された医師らと共に、様々なプログラムに参加し。臨床研究をした。

   だが、臨床現場で内科医の対本さんは、あくまで「エビデンスに基づく現代西洋医学」を基本として患者さんを診る。そこに迷いはないという。

「救命救急や集中治療、検査診断技術など、西洋医学の最先端分野は補完代替医療では太刀打ちできません。その有効なところは認めています」
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