2024年 5月 5日 (日)

「入国前PCR検査」やっと免除も... それだけでは観光客が戻ってこない理由

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   岸田文雄首相は2022年8月24日のオンラインぶら下がり取材で、日本への入国・帰国時に求めている海外でのPCR検査について、9月7日から免除すると発表した。ワクチン3回の接種が条件だ。

   4月から水際対策の緩和が進んできたが、それでも訪日客の回復が進まない状況が続いてきた。訪日外国人旅行者向けのサイトを運営する「D2C X」が海外に住む外国人を対象に行った調査では、「現在の日本の水際対策がしばらく継続される場合」の訪日について質問したところ。72%が「見送る」または「恐らく見送る」と回答している。今回の発表で状況は若干改善するとみられるが、最大のボトルネックは、観光客の受け入れが団体ツアー客に限られている点だ。「コロナ前」には大半を占めていた個人客解禁の時期が、今後の焦点だ。

  • 訪日客の回復が進まない状況が続いている(写真はイメージ)
    訪日客の回復が進まない状況が続いている(写真はイメージ)
  • 訪日客の回復が進まない状況が続いている(写真はイメージ)

ボトルネックの3番目が解消されたに過ぎない

   調査は7月1日から7日にかけてオンラインで行われ、52か国・地域の1717人が回答した。そのうち1431人が2回以上訪日した経験がある。現在の水際対策が続いた際の訪日意向について、51%が「見送る」、21%が「恐らく見送る」と回答。見送る場合に「代わりに何をしますか?」という問い(複数回答)には、「水際対策緩和まで待つ」と答えた人も45.1%いたが、63.3%が「日本以外の国へ旅行する」。「国内旅行」も20.5%いた。

   「現在の水際対策において、何が緩和されれば訪日したいと思いますか?」という質問(複数回答)では、最も多い回答が「団体旅行のみ(添乗員が常時同行)」で71.2%。「ビザ取得必須」(39.1%)、「出国前72時間以内のPCR検査陰性」(38.3%)が続いた。今回の政府の対応は、訪日観光のボトルネックの3番目が解消されたに過ぎないとも言える。

「特に日本から海外に渡航する方々が不便を感じている」出国前検査

   岸田氏はぶら下がり会見で、

「特に日本から海外に渡航する方々が不便を感じている、日本帰国時の出国前検査について、9月7日より、入国前72時間以内の陰性検査に代えて、ワクチン接種証明の利用を可能とする」

などと発言。主に「日本から海外に渡航する方々」のための対応だという点を明らかにしており、インバウンド対策が前面に押し出されているわけではない。この会見では、個人旅行客解禁に関する言及はなかった。

   「コロナ前」の19年の観光庁の「訪日外国人消費動向調査」では、日本を訪れた人がどのように旅行を手配したかを調べている。それによると、団体ツアーが16.9%、航空券とホテルがセットになった「個人旅行パッケージ」が6.5%、航空券やホテルを別々に手配する「個別手配」が76.6%だった。8割超の観光客にとって「未解禁」の状態が続いている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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