2024年 4月 19日 (金)

私はアイマスSideMに救われた 新潟大雪で車が立ち往生...恐怖の11時間支えた「推しの防災グッズ」

    「恐怖で負けそうな11時間半でした」――新潟県内の国道で2022年12月、大雪に伴う大規模な車の立ち往生が発生した。帰宅が困難となったある女性は、大好きなゲームとのコラボをきっかけに購入した防災グッズが役立ったと振り返る。

   女性を支えたのは、アイドル育成ゲーム「アイドルマスターSideM」のコラボ企画で販売されたファシル(静岡市)の防災ポーチだった。

   J-CASTニュースは、このエピソードを紹介した女性と、ファシルに取材した。

  • アイドルマスター SideMとファシルのコラボ
    アイドルマスター SideMとファシルのコラボ
  • キャラクターたちをコンセプトにデザインされた防災ポーチ
    キャラクターたちをコンセプトにデザインされた防災ポーチ
  • ノベルティとして付属していたアクリルキーホルダー
    ノベルティとして付属していたアクリルキーホルダー
  • アイドルマスター SideMとファシルのコラボ
  • キャラクターたちをコンセプトにデザインされた防災ポーチ
  • ノベルティとして付属していたアクリルキーホルダー

「コラボしたアイドルたちを見て励まされました」

   冒頭のエピソードはツイッターユーザー・やなぎさんが紹介した。30代の女性会社員で、勤務先から新潟県の山沿いにある自宅に帰宅する途中、大規模な立ち往生に巻き込まれた。この経験をブログで次のように振り返る。

   車の中に閉じ込められ、1時間に1台分進めば良いほうだった。いつもなら15分で過ぎ去る場所に約11時間半とどまった。たとえ進んでも、除雪が間に合わずに凸凹した道によって車が大きく揺れ、むち打ち状態に。やなぎさんは、孤独感による切なさや恐怖、痛みから泣きながら運転を続けた。そんな時に支えになったのが、「もしものため」に用意していた防災グッズだった。

「進んでも止まるたびに防災グッズが役立ち、コラボしたアイドルたちを見て励まされました。当時のことを思い出すと涙が出てきますが、その度に防災グッズがあってよかったと心底思います」

   やなぎさんが手にしていたのは、アイドルマスターSideMに登場する男性アイドルユニット「FRAME」をコンセプトにデザインが施された防災ポーチ。緊急用ホイッスルや静音アルミポンチョなど9点の防災グッズが備わっていた。

   やなぎさんは取材に対し、この経験を伝えることで人々が防災に関心を寄せるきっかけとなってほしいと訴える。

   特に役立ったグッズは、携帯トイレだったそうだ。立ち往生した車の周囲は田んぼしかなく、近隣に家や店舗もなかったためだ。防災ポーチには除菌シートやティッシュも入っていたため、衛生面も安心できた。さらにノベルティとして付属していたアクリルキーホルダーが心の支えになり、不安な時にずっと握りしめていたという。

   救助活動のために自衛隊が派遣されたときは、キャラクターの姿を重ね頼もしさを感じた。「FRAME」には、前職が自衛官のメンバーがいるためだ。

   やなぎさんは「sideMがなかったら防災グッズそのものも買わなかったし知ることも無かったんだろうな」と考え、「よくsideMに命を救われたと言う言葉を見ますが、私は今回物理的にも救われました」とブログに記している。

社員が「アイドルマスター SideM」のユーザーだった

   取材に対し、防災ポーチを販売したファシルは2023年1月5日、「アイドルマスター SideM」とのにコラボが実現した経緯を次のように説明する。

    「アイドルマスター SideM」には、様々な職業からアイドルに転身した個性豊かなキャラクターが登場する。ゲームを展開するバンダイナムコは21年11月末まで、キャラクターの経歴を生かしたコラボレーションを募集しており、ファシルはこの企画「315プロダクションお仕事コラボキャンペーン」に応募した。

「弊社は防災用品の企画・製造メーカーなのですが、ある社員が元々『アイドルマスター SideM』のユーザーで、自社が扱う防災用品と同ゲームの『頼りになる元公務員ユニット"FRAME"』という特性に親和性を感じ、『315プロダクションお仕事コラボキャンペーン』に応募させて頂きました」

   数あるアイドルユニットから、元公務員たちによるアイドルユニット「FRAME」とのコラボが決まった。

   一般的なアニメやゲームのグッズはキャラクターのビジュアルを大きく見せるグッズが多い。しかしファシルは「バッグに入れて持ち歩いたり学校や職場などに備える場合、そういった主張が強くない方が使用しやすいのではないか」と考え、あえてスタイリッシュなデザインを採用した。

「他にもセット内容に含まれる商品のパッケージをコラボ特別仕様にしたり、日常使いしやすいノベルティ(ステッカー/キーホルダー)を付属させるなど、細部までこだわりました」

   こうしたデザインについては発売時から、ツイッターで好評だった。

「全てのグッズはもちろん、ポストカードまでFRAME仕様で感動しました」
「スタイリッシュで日常に溶け込めそうだし、何よりFRAMEが守ってくれてる感じがして安心&嬉しい」

「社員にとっても大きな励みになっています」コラボに意欲

   ファシルは、コラボグッズが活躍したことについて次のように受け止めている。

「災害に巻き込まれないことが一番ではあるのですが、今回のように実際に誰かの役に立つことができたことと、そのきっかけが今回のお仕事コラボキャンペーンであったことについて大変嬉しく感じています。
普段は知ってもらう機会がない方々に知ってもらえることが、コラボレーションの魅力だと思います。
またコラボをすることで、SNSやリアルイベントで購入者の方々から感謝の言葉を頂くこともあり、これらは社員にとっても大きな励みになっています」

   コラボをきっかけに防災グッズを備えたという声も多く、冒頭のやなぎさんも多くの企業に対し「ぜひ防災グッズのコラボを積極的にして欲しい」とブログで訴えている。

   ファシルはアニメやゲームなどのコンテンツとのコラボは初めてだったが、「他のコンテンツのファンの方からもコラボを望む声を多くいただいておりますので、是非実現していきたい」と意気込む。

「防災用品の必要性はわかっていても、なかなか備えが進まない方も多くいらっしゃると思いますが、『好きなコンテンツ』や『推し』と組み合わせることで、より気軽に防災に向き合うことができます。その一つのきっかけがコラボレーションです。
また弊社としては、社会貢献や地域貢献に繋がる防災セットの開発など、時代に即した様々な商品開発を行っています。
今回はコラボ防災ポーチがお役に立てましたが、今後も様々な防災のカタチを模索し、世の中の役に立つ商品開発を続けていきたいと思います」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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