漫画家・ますむらひろしさんが2024年1月31日、X(旧ツイッター)で、テレビドラマ化もされた「セクシー田中さん」などで知られる漫画家・芦原妃名子さんの急死を受け、漫画がテレビドラマ化や映画化される際の原作者の「苦しみ」を吐露した。「産んだ世界が破壊される苦しみは、作者しか判らない」各メディアの報道によると、芦原さんは29日、栃木県内で死亡しているのが見つかった。50歳だった。自殺とみられるという。ますむらさんは31日、「セクシー田中さん」のハッシュタグを添え、漫画作品のメディアミックスに対する思いをつづった。「漫画がテレビ化や映画化され、ヒットすれば作家も出版社も儲かるからと、多少のことは我慢しな、と作者の世界が他者に渡る」脚本家との関係について「脚本家が現れ勝手な創作をして、頼みもしてない自己表現する。その結果は実に奇妙なものに変質する。産んだ世界が破壊される苦しみは、作者しか判らない」としている。ますむらさんは童話作家・宮沢賢治の作品を原作とする漫画を複数執筆する人気漫画家。代表作「アタゴオル物語」は2006年10月に「アタゴオルは猫の森」としてアニメ映画化されている。芦原さん「相当疲弊していました」芦原さんの漫画作品「セクシー田中さん」を原作に日本テレビ系で放送されたテレビドラマをめぐっては、芦原さんとドラマ制作陣の間にトラブルがあったとみられている。同ドラマの1~8話を担当した脚本家はインスタグラムで23年12月下旬、脚本をめぐって「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」「この苦い経験を次へ生かし、これからもがんばっていかねばと自分に言い聞かせています。どうか、今後同じことが二度と繰り返されませんように」などと投稿していた。芦原さんは24年1月26日にブログとXで、自身が「9話、10話の脚本を書かざるを得ないと判断するに至った経緯や事情」を説明している。未完作品のドラマ化にあたって「必ず漫画に忠実に」、漫画では完結していない終盤部分については「原作者があらすじからセリフまで用意する」といった条件を提示したものの反故にされ、「当初お伝えした『ドラマ化の条件』はどうなってしまったのだろう?という疑問を常に抱えた状態での加筆修正の繰り返しとなって、その頃には私も相当疲弊していました」という。時間的な限界から、9、10話は条件としていた「原作者が用意したものをそのまま脚本化していただける方」への交代を求めた。結果として芦原さんが最終2話の脚本を執筆したが、「素人の私が見よう見まねで書かせて頂いたので、私の力不足が露呈する形となり反省しきりです」などとして謝罪。ドラマのキャストや制作スタッフ、読者や視聴者らに「深く感謝いたします」としていた。日テレ「最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」芦原さんはその後投稿を削除し、Xで28日に「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿している。日本テレビは芦原さんの訃報に触れ、「セクシー田中さん」公式サイトで、「2023年10月期の日曜ドラマ『セクシー田中さん』につきまして 日本テレビは映像化の提案に際し、原作代理人である小学館を通じて原作者である芦原さんのご意見をいただきながら 脚本制作作業の話し合いを重ね、最終的に許諾をいただけた脚本を決定原稿とし、放送しております」と脚本に関する内容も含むコメントを公開している。【悩みを抱える人へ、厚生労働省が紹介している主な相談窓口】・いのちの電話(一般社団法人日本いのちの電話連盟) 0570-783-556(ナビダイヤル)/0120-783-556(フリーダイヤル)・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556・#いのちSOS(特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク) 0120-061-338・よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター) 0120-279-338/(岩手県・宮城県・福島県から)0120-279-226・チャイルドライン(特定非営利活動法人(NPO法人)チャイルドライン支援センター) 0120-99-7777(フリーダイヤル)・子供(こども)のSOSの相談窓口(そうだんまどぐち)(文部科学省) 0120-0-78310(フリーダイヤル)
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