選挙で候補者名に印つけるだけの「記号式投票」 開票・集計作業も簡素化するが日本いまだ行わず

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   選挙の投票で、候補者や政党の名前を書く「自書式投票」は、先進国では日本だけだ。候補者名に印をつけるだけで、開票・集計作業も簡素化する「記号式投票」が世界では広がっているが、日本の議員心理は保守的だ。「電子式投票」「インターネット投票」への模索も続くなか、日本の議員が新システムを受け入れる日は来るのか。

  • 「自書式投票」は、先進国では日本だけ
    「自書式投票」は、先進国では日本だけ
  • 「インターネット投票」への試みが進んでいる
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記号式投票への変更を自民党が「元へ戻した」理由

   日本が20歳以上の男女に投票権を広げた完全普通選挙になったのは1946(昭和21)年だった。この時点で「自書式投票」は、有権者が同一言語で識字率も高い「恵まれた環境」にあったともいえる。しかし、さすがに書き間違いや候補者以外の余分な文字などを書く「他事記載」による無効票が多く、開票作業に時間がかかることから、1994年に小選挙区(比例代表並立)制が導入された時に、衆院選挙に「記号式投票」(事前に印刷された候補者名などに〇をつける)が導入された。

   ところが、当時、政権を取り戻したばかりの自民党(社会党、さきがけと連立)内では「記号式は新しい党や人に投票が行きやすい」との導入反対論が浮上して、記号式が一度も実施されることなく廃止されてしまった。当時、選挙・投票制度の専門家は、「自書式投票が自民党に有利との根拠は全くない」とあきれ返った。

   実は、「記号式」はこれより30年余り前の62年に、知事選や首長選など地方選挙では導入が可能とされていた。ただ、実際に条例を作って導入する自治体は多くなかった。当時の朝日新聞は、「官僚の事なかれ主義と現役議員のエゴイズムだ」と批判していた。有権者の便利さより、選挙される側の議員の思惑が優先されたのである。

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