参政党にお株を奪われるれいわ新選組 参院選で「消費税減税論議」は議論深まらず、外国人政策は盛り上がり

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   2025年7月20日投票の参議院選は終盤が近づいて、どうやら「既成政党VS新しい政党」の対決構図が浮かび上がってきた。選挙後は、10以上の政党が入り乱れた混乱状況のなかから、石破首相が交代するかどうかよりも、対米関係の経済や安全保障など中期的テーマについて、れいわ新選組や参政党など新興政党から既成与野党にどういった切り込みが見られるかがひとつの焦点になりそうだ。

  • 2025年7月3日の公示日、東京都新宿区四ツ谷駅前で街頭演説に立つ、れいわ新選組の山本太郎代表(菅沼栄一郎撮影)
    2025年7月3日の公示日、東京都新宿区四ツ谷駅前で街頭演説に立つ、れいわ新選組の山本太郎代表(菅沼栄一郎撮影)
  • 参政党・神谷宗幣代表(2025年6月25日編集部撮影)
    参政党・神谷宗幣代表(2025年6月25日編集部撮影)
  • 2025年7月3日の公示日、東京都新宿区四ツ谷駅前で街頭演説に立つ、れいわ新選組の山本太郎代表(菅沼栄一郎撮影)
  • 参政党・神谷宗幣代表(2025年6月25日編集部撮影)

議員数は少なくても風穴は開けられる?

   7月3日の公示日。昼下がりの四ツ谷駅前で、れいわ新選組の山本太郎代表は、20分足らずの演説を、こうしめくくった。

「旗揚げから6年、14人の国会議員を生み出しました」
「消費税廃止どころか減税の議論はかつて、国会の中では死んでいた。2019年の『れいわ』起ち上げから6年。何が起きましたか。自民党以外、すべての政党が減税に触れています」
「数が小さくても、風穴は開けられる。その穴をさらに大きくすることができる。れいわの背中を押してください」。

   改札を出た日陰で聞いていた若い女性がつぶやいた。「山本さんは大きな政党では言えないこと、禁句やタブーに、どんどん直球を投げてくれる。純粋な発信はれいわしかない」「反原発、ぶれませんよね」「この演説をもっと拡散したい。ボランティアもしたい」

6年前に起ち上げて以来の快進撃だったが

   2019年の「令和」の元号とともに設立された「れいわ新選組」は、3か月後の参議院選で2議席確保するとともに、220万票余りを集め政党要件(総得票の2%以上)をクリアした。比例名簿にあった2人の重度障がい者を参議院へ送り込んだ。当時のロイター通信は、「障害者自身が政治家になるのは効果的な一歩になる」と評価した。その後、参院の議場やトイレなどは大幅に改修された。(JCASTニュース「国会のバリアフリー化は進んだのか」2025年4月19日)。昨年秋の衆院選では、3倍増の9議席に伸ばした。

   今回の東京選挙区では「元受刑者」でその後、多数の出所者や障碍者、生活困窮者らの相談に乗っている元民主党衆院議員を担ぎ出した。四ツ谷駅前の街頭で紹介した。

「何度でもやり直しのきく社会をみんなの力で作っていきたい」

と強調した。

有権者に「お得な話題」しか出てこない

   「れいわ」は、消費税減税論議に火をつけたが、財源論議をはじめこの選挙では議論が深まっていない。朝日新聞は選挙中盤戦で、「地球温暖化」や「防衛費引き上げ」を特集、議論が盛り上がっていないと嘆いたが、各党ともに「有権者にお得な話題」以外は力が入らないようだ。政権が「安定」すると与党に不利な法案は避けられる。「夫婦別姓」法案は1997年以来28年ぶりに法案審議にかけられたが、自民党内で意見が分かれ、与党に都合が悪い法案の審議が見送られてきた経緯がある。

   一方で、参政党は「日本人ファースト」を掲げて賛否両論を巻き起こしたが、結果として与野党の外国人政策の議論につなげた。さらに「終末期延命措置の全額自己負担」の提唱など、今回の選挙戦では「れいわのお株」を奪った側面もある。

(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)

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