第107回全国高等学校野球選手権大会(甲子園大会)に出場している広陵高校(広島)は2025年8月6日、1月に起きた硬式野球部内における暴力事案について、公式サイトで経緯を説明した。
広陵高校は、7日18時45分から北北海道代表・旭川志峯高校と対戦予定だ。
被害生徒は3月末に転校していた
広陵高校をめぐっては、SNSで同校野球部員が上級生に殴られるなどの暴力を受けたとする情報が拡散。8月5日に産経新聞が、広陵高校が1月に暴力事案があったことを認めたと報じていた。
広陵高校の発表によると、学校側は加害生徒の申告により不適切な行動を把握。被害生徒、指摘を受けた部員全員、職員から事情を聞き、事実関係を調査した。その結果、当時2年生の野球部員4人が、当時1年生の被害生徒に対し、「それぞれが個別に被害生徒の部屋を訪れ、暴力を伴う不適切な行為をしたこと」が判明したという。
具体的には、加害生徒の1人目が「胸を叩く」、2人目が「頬を叩く」、3人目が「腹部を押す」、4人目が「廊下で被害生徒の胸ぐらを掴む」行為をしたとする。被害生徒の保護者からは別の2人の名前も挙がったが、「不適切な行為は確認できなかった」とした。加害生徒4人は被害生徒に謝罪、被害生徒は3月末に転校したと報告した。
また、学校側は事案の把握当日に広島県高等学校野球連盟(広島高野連)に報告。その後2月14日に報告書を提出したという。広島高野連を通じて日本高等学校野球連盟(日本高野連)にも報告。3月5日に行われた審議委員会により、硬式野球部は日本高野連会長名による「厳重注意」、該当部員は「事件判明から1か月以内に開催される公式戦に出場はできない」という「指導」を受けたという。
一方、被害生徒の保護者からは、「学校が確認した事実関係に誤りがある」と指摘があったという。そのため、学校側は改めて事実確認をしたとし、「新しい事実はなかった」とした。
公表控えた理由は「被害生徒及び加害生徒の保護の観点」
また、広陵高校は発表のなかで、SNSで拡散されている情報について関係者に事情を聴取したとし、「新たな事実は確認できませんでした」とも伝えた。SNSでは、学校側の高野連への報告内容に問題があったとする情報や、学校側が発表した内容以上の暴力行為があったとする情報も拡散している。
広陵高校は、「被害を受けられた生徒ならびに保護者の皆さまには、重ねて深くお詫び申し上げます」と謝罪。広陵高校では「いなかる暴力も認めない方針を掲げております」とし、暴力を含む不適切な行為があったことに対し「極めて遺憾」とした。今後について、「全校を挙げて、再発防止に注力してまいります」と方針を示した。
また、これまで公表してこなかった理由について、「被害生徒及び加害生徒の保護の観点から」と説明。「インターネット上では調査結果とは異なる事実、憶測に基づく投稿や、関係しない生徒への誹謗中傷も一部見受けられます」とし、「本書に記載した内容を超えての具体的なご説明は差し控え、今後も生徒ならびに関係者の個人情報に及ぶ詳細の公表は控えさせていただきます」とした。
Xでは、野球部員の実名や顔写真付きで加害生徒だと断定する内容の投稿も相次いでいる。