戦略転換はあるか?
梨沙氏はアパレルやライフスタイル商品を拡大し、キャンプブームで会社の売上を押し上げた。
着物キャンプのようなユニークなコラボも話題となり、もともと高級ブランドとして認知されていた同社の独自性を高めた。ただ、梨沙氏辞任後の業績低迷で株価は上場廃止前まで不安定だった。24年2月にMBOが公になった直後は株価が上昇し、ベインの支援による業績回復への期待が高まった。
では、水口氏の社長就任で商品展開は変わるのだろうか?
水口氏がCEOとしてスタバのブランドを強化した経験が鍵になるだろう。就任発表会見で水口氏は「日本の自然観を世界に発信していく、そこに大きな意義を感じた」と就任理由を語った。また、「ブランドには尖っている部分が必要。こうした取り組みでエッジを出していく」と述べ、アパレル強化や顧客接点拡大を強調。今後5年間で年平均成長率10%超(国内外トータル)を目指す方針だ。
株価は水口新社長就任後から安定しているが、商品展開の方向性はどうなるか。23年冬に発表し話題となった148万円の超高級テント「リゲル Pro. ストーブプラス」のような「尖った」ブランド発信を継続するのか、低価格商品の充実でビギナーへの間口を広げるのか、あらゆる可能性が考えられる。