タレントやナイトワーカーが薬物乱用で逮捕される事件は、今に始まったことではない。先日も某・有名俳優が麻薬取締法違反の罪で起訴された。人気商売は常に闇と隣り合わせであり、華やかな世界とクスリは、切っても切れない関係にあるだろうか。所持、または使用により全てのキャリアが崩れる恐れがあるのにもかかわらず、売買を行う人はいつの時代も消えない。はたから見ると「なぜ?」という疑問ばかりが頭に浮かぶが、彼らは常日頃から常識の外で生きるせいで、一般的な感覚を失っているのだ。「いつでも手に入る環境」が感覚を狂わせるナイトワーカーはもちろんのこと、夜遊び好きなタレントも歓楽街とは密接な関係にある。クラブ、会員制バー、顔の広い仕切り役が催す「会合」など、数回顔を出せば人脈があっという間に作れてしまう。人とのつながりを悪い方向に活かすと、「おクスリ」に辿り着いてしまう。そのくらい都会には「世に見つかっていない売り手と買い手」が蔓延っている。心の底から「乱用デビュー」を求めて、パーティーへ出向くケースは極めて稀。たいていは周りにすすめられるか、気軽な気持ちで手を出すなど、酒やタバコを始める流れとよく似ている。頭を働かせ、眠気を吹っ飛ばすために業界で働くクリエーターや演者が、何らかのクスリを使う例が多い。ハイになりたいのではなく、仕事のパフォーマンス向上を目的としがちで、「右へならえ」する人はダメだと理解していながらも足を踏み入れる。いつでも手に入る環境や「やっている人もいるし」という異常な「身近感」が、きっと判断を鈍らせるのだろう。ちなみに、一般人にも同じことが言える。派手な遊び好きのオトナや歓楽街への出入りを頻繁に行うタイプだと、薬物に対する考えが甘くなりやすい。たとえ自分自身がやっていなくても、誰かが手を出した話を度々耳にするだけで「まぁ、この街にはそういう人もいるから!」なんて、割り切った考えを持ち始める。一般社会で考えたら、あり得ない話なのに......。売人はどんな相手でも「客」でしかなく、サラリーマンにでも平気で売りつけるのが最もコワいところ。通常の感覚を失った人々がほんの少しの好奇心や勧誘で闇へと一歩近づき、人生破綻ルートを歩む話は実際に起きているのだ。影響はセクシー業界にまで...クスリをやめられない人たち夜遊び好きなセクシー女優は多く、その中でも薬物に手を染める人間は一定数存在する。歓楽街に出入りするからといって全員が当てはまるわけではないものの、危険な人物と集まりに「ズブズブ」な人たちの噂もいくつか耳にした。明らかなジャンキーなら目をつけられるものの、そうでなければ疑惑さえ浮上しない。テレビタレントより遥かに見つかりづらく、元or現役ナイトワーカー兼女優業に勤しむタイプなら、入手ルートに辿り着くのはたやすい。売人にとっても高収入の彼女たちは最高の客なので、悪い意味での関係値があっさりと完成してしまう。不思議なことに、薬物を乱用する人々は仲間を欲する。俗に言うドラッグ・パーティーで盛り上がりたいタイプも多いほか、トラブルが発生した際の「盾」や罪をなすりつける先をつくるために、巻き込むイヤな奴も少なくはないらしい。「なぜ、そこまでして」と思うのが普通だが、いずれにしても一時の快楽だけを求めて全てを壊す恐れがあるモノに溺れる姿は、至って滑稽と言えよう。よく薬物は心の弱い人間が陥りやすいと言うが、単純な好奇心や、世間とズレている自分に酔って手を染めるケースはごまんとある。聞いていて呆れてしまうが、クスリをやめられない背景にしょうもない理由が潜んでいることも多いのだ。売人を取り締まれば全てが解決するように思えるが、根絶は難しい。近頃は国内に外国人が急増したことから様々な薬物も流れてきており、入手ルートも増えてしまった。事件にまで発展する事例は「氷山の一角」でしかなく、法をくぐり抜けて歓楽街の闇に染まる人間が本当に後を絶たない。華やかな世界に身を置き続けると、「薬物は犯罪です」というごくごく当たり前の概念が飛ぶことの異常さに私は長年疑問を抱き続けている。この危険は業界人だけではなく、一般社会で働くオトナたちにも襲い掛かるため、決して他人事ではない。夜遊びを頻繁にする人たちは、十分に注意していただきたく思う。【プロフィール】たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。
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