被害は収束、それでも消えない「隣人との距離」
助言に従って、境界部分にコンクリートブロックを設置すると、破壊被害なぴたりと止まった。しかし、心が晴れたわけではなかった。
「その家の奥さんが車を運転するんですが、出かけるときにブロックのギリギリまで寄せて方向転換していくんです。もし退かしたら、また敷地に入られるだろうなと感じています」
最近では、奥さんがブロックをじっとのぞき込んでいる姿も何度か目にしたのだとか......。
「何か思い当たることがあるのか、ただ見ているだけなのか、正直わかりません」
念のため、佐伯さんはスマートフォンで確認できる「IPカメラ」を設置して、様子を見ているという。18年の間に、両者の関係はすっかりぎこちなくなった。
「顔を合わせても挨拶はなくなりました。こちらは落ち着いて暮らしたいだけなのに、どうしても意識してしまいます」
とはいえ、対立を深めるつもりはない。
「強く出ると、また何かあったときに余計にややこしくなります。冷静に対応していくつもりです」