米国とイスラエルによるイラン攻撃が招いたホルムズ海峡の封鎖を巡り、米国のトランプ大統領が、日本を含む同盟国などに艦艇の派遣を求めて圧力をかけている。多くの国が慎重姿勢を示す中、高市早苗首相は2026年3月19日に日米首脳会談が控える。これまで米国に徹底した追従姿勢を取ってきたが、日本の国益のために筋を通せるのか、正念場を迎えることになりそうだ。トランプ氏は不満「喜んで米国に協力すべき」トランプ大統領は3月16日の記者会見で、ホルムズ海峡の安全確保について非協力的な国に不満を表明し「喜んでわれわれに協力すべき」だと述べた。米国がこれらの国々が「戦争に巻き込まれないようにしてきた」とも主張した。さらに日本を名指しし、石油の95%を「海峡を通じて得ている」と釘を刺した。この圧力に対し、日本政府は非常に厳しい判断を迫られている。3月17日の衆院予算委でこの件を問われた高市首相は「法的に可能な範囲で何ができるか、精力的に政府内で検討をしている」と答えるにとどめた。高市首相にとってトランプ大統領との蜜月関係が、ここにきて皮肉にも重荷となっている。25年10月に行われた日米首脳会談の際、米大統領報道官からの情報として「高市首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦すると伝えた」と報じられた。直後の国会でこの件を追及された高市首相は「ノーベル賞委員会は審査資料を少なくとも50年間は開示しないこととしている」とし、否定も肯定もせず明言を避けていた。だが、そのトランプ大統領は「平和」とは程遠い行動を繰り返している。今年初めにはベネズエラへの軍事侵攻で政権を転覆。さらにはグリーンランド併合を示唆する態度を示し、欧州各国から反発を招いた。それらに続くイランへの攻撃では3月14日、米メディアのインタビューに「面白半分であと数回攻撃するかも」と発言している。トランプ大統領からの協力要請に、国際社会の反応は冷ややかだ。スペインのサンチェス首相は3月1日、米国とイスラエルのイラン攻撃を「国際法に反する不当かつ危険な軍事介入」と批判し、国内にある基地を米軍に使用させないと表明。イタリアのメローニ首相も3月11日、米国とイスラエルによるイラン攻撃を「国際法の範囲外」と断じ、介入への参加を明確に否定した。今のところ韓国やドイツも慎重な姿勢を崩していない。「その言動をぜひ恥じてほしい」フォトジャーナリストの安田菜津紀氏は3月15日に出演したTBS番組「サンデーモーニング」で、ノーベル平和賞への推薦が報じられたことに言及し、「もしそうだとするならば、その言動をぜひ恥じてほしいと思います」と苦言を呈した。また、実業家の辻愛沙子氏も自身のX(旧Twitter)で「国際法違反ともとれる先制攻撃をしかけ、イランの学校をミサイルで爆撃し罪もない子どもたちを175人も殺し、面白半分で人の命を奪うと発言するこの権力者を、ノーベル平和賞に推薦したのが何を隠そう高市早苗総理である」と断じた。日本国内では複数の世論調査によると、イラン攻撃の不支持が8割前後と大半を占める。SNS上でも「トランプをノーベル平和賞にしちゃったの普通に黒歴史だろ」といった冷ややかな声が相次ぐ。そもそも現在の事態では、自衛隊を派遣するのは法的に難しいとの見方が強い。こうした外交上の難局に直面する中、高市首相の「健康問題」も懸念材料となっている。就任時に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」と高らかに宣言し、25年の「新語・流行語大賞」の年間大賞にも選ばれたフレーズだが、3月12日に予定されていた中東諸国の外交団との食事会を体調不良を理由に欠席した。大事な局面での不在に対し、SNSでは「都合が悪いタイミングで体調悪化」「逃げたと思われても仕方ない状況」といった批判も飛び交っている。元大阪市長の橋下徹氏は3月17日、出演した「ゴゴスマ-GOGO!Smile!」(CBC、TBS系)で「米国のイラン攻撃が合法かどうかをちゃんと評価すべき。今は逃げ回っている。米国が違法なことをやっているのに、日本はそこに加担するわけにはいかない。日本は法を捨てたら中国やロシアに簡単にやられちゃいますよ」と指摘した。ワシントンで行われる日米首脳会談は、現実的な外交手腕が問われることになる。半年前のようにトランプ大統領の横で「ピョンピョン飛び跳ねる」演出だけでは済まされない。トランプ大統領の圧力に対し、日本の国益と国際法、そして国内法との整合性を説明できるのか。高市政権の命運を握る場となりそうだ。
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