2400億円超の架空取引、発覚きっかけはKDDI現会長の「懸念」 調査報告書にX衝撃「切れ者過ぎる」

   KDDIが2026年3月31日、連結子会社のビッグローブと同子会社のジー・プランにおける不適切な取引の疑いに関する特別調査委員会の調査報告書を発表した。従業員2人が広告代理事業で実体が存在しない「架空取引」を行い、売上高2461億円を計上していたと分かったという。

   発覚のきっかけとなったのは、当時のKDDI代表取締役社長で現会長・高橋誠氏(64)による「懸念」だといい、Xで「切れ者過ぎる」などと驚かれている。

  • KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏(写真:つのだよしお/アフロ)
    KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏(写真:つのだよしお/アフロ)
  • KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏。KDDI公式サイトより
    KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏。KDDI公式サイトより
  • 問題となった「架空循環取引」の流れ。2026年3月31日に発表された調査報告書より
    問題となった「架空循環取引」の流れ。2026年3月31日に発表された調査報告書より
  • KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏(写真:つのだよしお/アフロ)
  • KDDIの元代表取締役社長で現会長・高橋誠氏。KDDI公式サイトより
  • 問題となった「架空循環取引」の流れ。2026年3月31日に発表された調査報告書より

事業急拡大で「コンプライアンス的に問題ないか」

   報告書によると、遅くとも18年8月から25年12月まで継続的に、ビッグローブやジー・プランが仲介する実在のウェブ広告取引を装いながら、上流代理店と下流代理店を加わらせた商流で手数料分の利益を得る「架空循環取引」が行われていた。「本件子会社における広告代理事業の売上のうち概ね99.7%が、本件架空循環取引により計上された」といい、外部流出額は329億円におよぶ。

   組織的な事案ではないことが確認されたとしている。事業が急速に拡大する中、ビッグローブやジー・プランでは一定の状況把握に努めていた役員もみられたが不適切な取引の実態はつかめていなかったとも説明している。

   発覚のきっかけは25年2月19日、当時のKDDI社長だった高橋氏が指摘したこと。経営戦略会議でビッグローブの25年度マスタープランを審議した際、広告代理事業の業績について「あまりにも伸びているので怖い」「通信より大きくなっている。事業として指標で管理していることを見せてほしい。これだけ伸びているといつか何かが起きるかもしれないので注意してほしい」などの指摘とともに、「コンプライアンス的に問題ないか」といった懸念を示したという。

   この懸念は、単発取引の積み重ねのため売上が急激に落ちる可能性がある広告代理事業の伸びが、主要事業である通信事業と比較して極めて大きくなっていたことを踏まえ、事業リスクがあると感じ、広告代理事業の内容の確認を求める趣旨だった──とされている。

「同様の懸念を示す役員は他にいなかった」

   一方で当時は、広告代理事業を管掌していたビッグローブ取締役執行役員常務から「扱う商品の審査とクリエイティブチェックはしている。変な広告が出たり、薬事法違反になったりが起こらないようなマネジメントをしている」などと説明があり、会議の場でそれ以上の追及はなく、「同様の懸念を示す役員は他にいなかった」とのことだ。

   その後について調査報告書には、「当該指摘を踏まえ、KDDIの監査役及び内部監査部は、同月以降の対応で、ビッグローブの監査役への確認を行うとともに、会計監査人とも意見交換を行っていたのであり、そうした対応の結果、本件架空循環取引の発覚に繋がったことは認められ、ある意味では、これ以上の傷の拡大を防ぐことができたという側面があることは否定できない」などと記されている。

   今回の発表を受けて、高橋氏の活躍はXでも注目され、「高橋誠さんすげー!」「切れ者過ぎる」「異様な数値の伸びに対して正しく指摘できたの優秀やね......」「素晴らしい経営感覚」「細かな話まで聞かずとも経営者としての嗅覚が何か変だと思わせたのか...」などと称賛されている。

   高橋氏は1984年3月に横浜国立大学・工学部金属工学科を卒業後、京セラを経て、同6月にKDDI前身の第二電電へ入社。03年に執行役員となり、昇格を経て18年に社長に就任。22年7月にKDDI(au)で大規模通信障害が発生した際は社長として謝罪会見に臨み、対応力がSNS上で高く評価されたことでも知られる。25年4月に代表権のある会長に就いている。

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