日本航空(JAL)とANAホールディングス(HD)は2026年4月20日、国際線の旅客運賃に上乗せする燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃)を5月1日発券分から引き上げるとそれぞれ発表した。
両社は2月の段階で4~5月分のサーチャージの額を発表していた。だが、イラン情勢に端を発する原油価格の高騰を受けて前倒した。事態は長期化する可能性もあり、その結果として航空需要が減退すれば、JALは「路線の維持というものが難しくなってきてしまう」可能性も指摘している。
原油よりもケロシンの方が上昇幅が大きい
JALやANAの場合、サーチャージは「ケロシン」と呼ばれる航空燃料の原料がシンガポール市場で取引される価格をもとに決まる。具体的には、2か月の平均価格と為替レートの平均を掛け合わせ、それぞれの会社が決めるテーブル(計算表)に当てはめて決めている。例えば25年12~26年1月のケロシン市況価格は4~5月発券分のサーチャージに反映されてきた。
4月20日、JALはオンラインで報道陣向け説明会を開き、保管が難しいケロシンの方が原油よりも備蓄が少なく、価格の上昇幅が大きいと説明(26年2月と3月末を比較した場合、原油価格1.8倍に対してケロシンは2.5倍)。今の燃油価格と為替の状況が続けば、元々300億円程度を想定していた1か月の燃油費が倍増するとみている。こういった情勢を踏まえて、JALの担当者は
「この中東情勢にともない、燃油費の高騰が我々にとってもインパクトが強い。なるべく早い段階で、こちら(燃油価格)を反映させていただきだい」
と、引き上げを前倒した理由を説明している。
事態長期化なら「お客様の負担金額は、どうしても大きくなってしまう」
JALの日本発の片道の場合、韓国以外の東アジア路線は7400円→1万4200円、マレーシア・シンガポールなどの東南アジア路線が1万5500円→2万9600円、ハワイが1万7800円→3万4700円、北米・欧州が2万9000円→5万6000円に値上げされる。多くの路線で倍近い値上がりだ。ANAも、これに近い水準だ。
燃油価格の高騰が続けば、国の激変緩和措置の補助金を踏まえても、「お客様の負担金額は、どうしても大きくなってしまう」(JAL担当者)。需要減退で路線維持が困難になる可能性にも言及した。
「それによって航空需要そのものが減退してしまうということを我々としても懸念している。航空需要が減退してしまうと、我々の収支状況に圧迫が見られるので、路線の維持というものが難しくなってきてしまう、そういった可能性もある」
国外では、燃油価格を理由に、減便に踏み切る航空会社もある。JALは現時点でこの方向性を否定しているが、事態が長期化すれば、検討のタイミングが「将来的に来る可能性はある」とも話した。
(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)