コメ騒動が思い出されるナフサの「目詰まり」 高市首相の号令で解消できるか、経産省も本気度が試される

   中東情勢の影響で流通の一部に混乱が見られる化学原料のナフサについて、高市早苗首相は2026年4月30日の関係閣僚会議で「流通に目詰まりがある」と供給不安の解消に向けて関係大臣に迅速かつ丁寧な対応を求めた。ナフサ不足の不安から、すでに食品の包装容器が手に入らないとの声も出ており、政府は沈静化に躍起だ。どこに問題があるのか。

  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
    高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • 高市早苗首相(2026年1月撮影)
    高市早苗首相(2026年1月撮影)
  • 高市早苗首相(2026年2月撮影)
  • 高市早苗首相(2026年1月撮影)

コメの目詰まりでは農水省は猛省を迫られた

   「目詰まり」と聞いて思い起こすのは、2024年から25年にかけて消費者を悩ました「令和のコメ騒動」だ。当時の江藤拓・農林水産相が「どこかにスタックしている」として、生産量は十分にあるが、流通段階で目詰まりしていることを強調した。いわゆる転売ヤーの存在をにおわした。

   しかし、農水相が小泉進次郎氏に代わると、訪日外国人の増加や、一昨年のコメは高温障害によって精米時の歩留りが悪く、結果的に需要に比べて生産量が足りなかったことが判明した。農水省は猛省を迫られた。背景には、農水省が想定した以上に流通が複雑化していたほか、もともと自家消費や親類に配る縁故米が一定割合あり、「流通段階での実態を十分に把握ができていなかった」(農水省幹部)として、備蓄米の大量放出を余儀なくされ、さらにそのやり方も入札から随意契約になるなど混乱した。

中東以外からの輸入が急増していると強調するが

   ナフサに関しては、ポリエチレンなどの中間段階の化学製品も含め、在庫は間違いなく存在すると経済産業省は言う。不足感が出ている理由として、流通の各段階でそれぞれの事業者が不測の事態に備え、少しずつ過剰な在庫を抱えているため、とみる。コメと違って当面の必要量は確実にあるというのだ。

   ナフサの調達先は、中東が4割、国産が4割、その他地域が2割となっている。高市首相は30日、米国やアルジェリアなど中東以外からの輸入が急増していることを強調している。ナフサ由来の化学製品について「年を超えて供給を継続できる」と明言した。さらに関係大臣に対し、「所管業界の方々に十分ご理解いただいたうえで、前年同月量を基本とした調達を行っていただくよう徹底的な周知・広報を」と呼びかけた。

   これによって、ほんとうに「目詰まり」は解消するのか。各事業者が不安に駆られることなく、従来通りのビジネスを続けることができるのか。経済産業省はホームページに「中東情勢関連対策ワンストップポータル」を作って国民に情報提供しているが、令和のコメ騒動の二の舞になることはないのか。国際情勢も絡んでいるだけに政府や経産省の実力が試されそうだ。

(経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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