大阪・関西万博で来場者の輸送を担ってきた電気自動車(EV)バスを巡り、トラブルが相次いだ。これを受け、大阪メトロは、販売元の「EVモーターズ・ジャパン」(福岡県北九州市、EVMJ)に対し、購入代金の返還、違約金請求と車両の引き取りを求めている。だが、同社は2026年4月30日、「契約の解除は認められない」と主張した。万博後は、EVバスを自動運転の実証実験や脱炭素社会の推進に活用する「レガシー」を掲げていたが、その活用に暗雲が立ちこめている。万博開催中にトラブル相次ぐ万博会場のあった夢洲から直線約15キロ離れた大阪城の近くに、大量のEVバスが置かれている。100台以上のEVバスが使われることなく、放置されたままで、SNS上では、まるで「EVバスの墓場だ」とやゆされている。大阪メトロは、大阪・関西万博の期間中、会場内外や大阪市内の輸送を目的にEVバス190台を導入した。しかし、停車後に動き出したり、ブレーキが利かなかったりするトラブルが相次いだ。国交省は、万博終了後の2025年10月にEVMJに対し立ち入り検査を実施。全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反するなど、ずさんな管理が明らかとなった。そのため大阪メトロは3月31日、「当社が求める安全性と長期的な安定性を確保できる方法・体制を確立することは困難であると判断し、本件車両の全てについて運行を再開せず、今後使用しないことを判断した」と発表した。大阪メトロの契約の解除は「法的な根拠を欠く」なぜこのようなずさんな管理となったのか。国際的なイベントである万博までに急いで大量のバスを納品しないといけないという事情があったとされる。JNNニュースの報道によると、大阪メトロは、当初、国内メーカーにバスの打診をしたものの、「その期間で量産は難しい」と回答があり、EVMJに白羽の矢が立ったという。EVMJは、中国のメーカーに商用EVの製造を委託している。また、EVバスには1台当たり約900万~約1900万円の国や大阪府、市の補助金がついていて、導入側は安く購入でき、販売元は注文が増えて儲かる仕組みとなっていた。EVMJは4月30日のプレスリリースで、EVMJの車両は現実に使用されているもので、大阪メトロの契約の解除は「法的な根拠を欠く」と指摘。「大阪メトロが、弊社車両の運用を停止したのは、あくまでも同社の個別判断によるものであり、製品自体の安全性の欠如に起因するものではないことを、皆さまに改めてお伝えいたします」と主張している。
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