大阪・関西万博で来場者の輸送を担ってきた電気自動車(EV)バスでトラブルが相次いだ問題を、2026年5月18日の「かんさい情報ネットten.」(読売テレビ)が取り上げた。
番組では、販売元の「EVモーターズ・ジャパン」(福岡県北九州市、EVMJ)を取材。中国の会社に製造を委託したEVバスに関して、ずさんな安全管理となっていた実態を関係者が証言した。
導入からわずか2週間で運行打ち切り
万博のEVバスを巡っては、万博後に自動運転の実証実験や脱炭素社会の推進に活用する「レガシー」を掲げていた。だが、万博の期間中に停車後に動き出したり、ブレーキが利かなかったりするトラブルが相次ぎ、大阪メトロは、安全上の懸念から万博後、使用しないことに決めた。
万博閉幕後には、大量のバスが大阪市城東区の大阪メトロの敷地内に留め置かれたままとなり、SNSでは「EVバスの墓場」とやゆする声が上がっていた。
国交省は、2025年10月にEVMJに対し立ち入り検査を実施。全国で販売した317台のうち3割以上で「ブレーキホース」の損傷などが確認され、78台は国の保安基準に違反するなど、ずさんな管理が明らかとなった。
番組では、万博以外にもトラブルが起きていたとして、福岡県筑後市のEVMJのスクールバスのトラブルを紹介。カーブでハンドルが切れなかったり、ブレーキの効きが甘かったりするなどして、導入からわずか2週間で運行が中止されたことを伝えた。
「不具合が出るのが日常茶飯事」と内部証言が
バスを製造していたのは、EVMJから委託を受けていた中国を拠点にする新興メーカー「Wisdom Motor」。EVMJは、この会社から車両を仕入れ、大阪メトロや自治体に販売していた。
番組に証言したEVMJの関係者は、品質の悪さを認識した上で補助金を得ようとしたと指摘。
「正直に申しあげると車の品質が悪すぎて、ちょっと手に負えない」と告白した上で、
「補助金に間に合わせるために品質管理はそれなりにという形で、『1に補助金、2に補助金』と社内でやゆされるくらい。補助金を大切にする形でやっていた」
と証言した。
また、EVMJが26年1月に行った車両の点検に関しては次のように話した。
「『ラテラルロッド』という(車輪とつながる)金属の棒だが、そこの付け根の溶接が外れてしまい、『もうこれダメだよね』ということも。正直に言ってまひしてますので『また出たから解決しようね』といった感じになっている。不具合が出るのが日常茶飯事」
と語った。
販売元「運用停止はあくまでも大阪メトロの個別判断」と主張
5月18日には、EVバスが大量に留め置かれていた大阪メトロの敷地から撤去作業が始まった。
番組では、5月14日、大阪メトロが26年3月期連結決算で67億円の特別損失を計上し、EVMJ側に購入代金の返還、違約金請求と車両の引き取りを求めていると報じた。ただ、4月に同社は「資金繰りの懸念」を理由に民事再生の手続き開始しており、問題の先行きが不透明となっていることも伝えた。
EVMJは、4月30日のプレスリリースで「大阪メトロが、弊社車両の運用を停止したのは、あくまでも同社の個別判断によるものであり、製品自体の安全性の欠如に起因するものではないことを、皆さまに改めてお伝えいたします」とコメントしている。
本村弁護士「大阪市民の税金の無駄遣いだったということ」
番組内で本村健太郎弁護士は、EVMJが民事再生の手続きを取っており、「事実上倒産したと言っていい」とコメント。同社が争う姿勢を見せていることに対しては、
「(大阪メトロが)もし裁判に(なって)勝ったとしても、お金がないから返せないということもあると思う。事実上お金が返ってこない可能性の方が高い」
と分析。
「そうなると損失が丸ごと大阪メトロになってしまって、100%株主は大阪市ですから、大阪市の丸々損失になることとほぼ同じ。イコール大阪市民の税金の無駄遣いだったということになってしまう」と苦言を呈した。
また大阪メトロには、
「注文したときになぜこの業者を選んだのか、という責任があり、徹底的に検証する必要があると思う」
とコメントした。