5年目に入ったロシアによるウクライナ侵攻について、2026年5月21日放送の「深層NEWS」(BS日テレ)は2人のロシア情勢と軍事に詳しい専門家が今後の見通しを語ったが、4月にはウクライナのザポリージャ州でウクライナ軍が無人機と無人車両だけで一部の村を奪還したことを発表、映像とともに紹介した。
ロシア側の徴兵、動員率より死傷率が上回っている
では、戦闘の主導権はウクライナに傾きはじめているのか。
防衛研究所研究幹事の兵藤慎治さんは「(無人機と無人車両だけで奪還したのは)非常に驚きです。ロシア兵は無人機と無人車両に苦戦して投降するが、手をあげるだけだと(相手は)ロボットなので認識するかどうかわからないので、段ボールに投降するという文字を書き、白旗をあげたということだ。一方、ロシア側は今年に入って兵士の徴兵、動員率より死傷率の方が上回ってしまっているという状況がある。前線のコミュニケーションツールとして使っていたロシア製SNSのテレグラムも規制されるとか、いろいろな問題が出てきて、戦闘能力が落ちているという見方もある。総合評価した場合に、主導権がウクライナ側に傾きつつあるのではないかという指摘がある。ただ、短期的に反転攻勢してロシアの占領地域を大規模に奪還出来るというところまで行くかというと、必ずしもそういうことではないが、相対的にウクライナ軍が優勢になりつつあるという見方が出てきている」と分析した。
両軍が「イノベーションの回転速度競争をやっている」
ザポリージャ州で展開したウクライナによる無人機・無人車両による戦闘のあり方が現代戦にどのような影響を与えるか。そう問われた東大先端技術研究所准教授の小泉悠さんは先日、ウクライナを視察した状況をまじえて話した。
「ウクライナが無人兵器にものすごく注力していることがあらためて確認できた。ただ、さすがに前線の戦闘すべてを無人車両でやれるとは考えていない。地雷除去とか兵站であるとか、人間にやらせると非常に損害が大きい部分をロボットに置き換えやすいところから換えている。これをウクライナが一方的にやっているのであればゲームチェンジもあるが、ロシアも同じようにやっていて、どちらがイノベーション力で負けないかという、イノベーションの回転速度の競争をやっている感じだ。その観点からいうとまだウクライナが優勢に傾いたとは言えないだろう。これが戦争の大転換点になるという見方はしていない」
兵士が無人機を前に両手をあげてひざまずく映像が紹介されたが、衝撃的である。
(ジャーナリスト 佐藤太郎)