自民党広報本部長を務める鈴木貴子衆院議員のSNS発信が炎上騒動を招いている。メディア報道を「事実に基づかない印象操作」などと強い言葉で批判したところ、誹謗中傷動画の疑惑を巡り、国会で追及を受けている高市早苗首相に対する「ブーメラン炸裂」を指摘する声が相次ぐ事態となった。
日刊ゲンダイの「違法『広告動画』疑惑」報道を念頭?
事端となったのは、鈴木議員が2026年6月3日にX(旧Twitter)へ投稿した一連のコメントだった。「スクープの定義、変わりました?」と扇動的な書き出しでメディアを批判。「『違法』と大きく煽る。しかし記事を読んでみると、法律違反の"事実"はどこにもない」「本来、スクープとは誰も知らなかった事実を正確に伝えることです。『事実誤認を大声で拡散すること』ではありません」などと強い言葉を続けると、末尾には「#それでスクープを名乗れるなら推理小説家は全員特ダネ記者」という謎のハッシュタグを添えた。
どの媒体のどの記事に対するコメントかを記さなかったが、6月2日には日刊ゲンダイが「【スクープ第5弾!】北海道自民12陣営にも衆院選での違法『広告動画』疑惑が発覚」と題した記事を公開していた。記事中では、鈴木議員に対する疑惑にも触れられていたことから、X投稿はこの記事を念頭に置いた可能性がある
だが同じ頃には、より社会的関心が高い自民党のスキャンダルが報じられていた。それは、文春オンライン(週刊文春)が6月3日に報じた、高市首相の陣営が総裁選や衆院選で他候補を中傷する動画を作成・拡散していたとされる疑惑の続報だ。首相の秘書が中傷動画の作成者とZoom会議でやり取りしていたとする音声など、新たな傍証を報じていた。
鈴木議員が批判の対象を明示しなかったため、SNS上では混乱を招く結果に。「これは何の話をしてるんだろう」など困惑の声が噴出。疑惑の渦中にいる高市首相を擁護するコメントだと受け止める反応も相次いだ。
「『報道内容に事実があるのかどうか』を自分で確認する」の読み解き方
鈴木議員は6月3日夜、Xに「民主主義に必要なのは、罵倒ではなく批判です。人格攻撃よりも、事実に基づく正しい批判の方がはるかに相手に刺さります」「『訴えたかどうか』ではなく、『報道内容に事実があるのかどうか』を自分で確認する」とも相次いで投稿していた。だが皮肉にも、この一連の投稿が翌日に国会で追及を受けた高市首相を背後から撃つような流れとなってしまった。
6月4日の衆院予算委員会で、野党側は文春側が公開したZoom会議の音声について高市首相を追及。音声が本物であれば、動画作成者と秘書は「面識がない」としていた従来の説明が虚偽だったという疑いが強まる。しかし、高市首相は「(文春の)有料オンライン会員になろうとは思わない」ことを理由に音声の確認を拒んだ。
この高市首相の態度に、鈴木議員が前日に発信した「報道内容に事実があるのかどうかを自分で確認する」という文言が突き刺さる結果に。鈴木議員のX投稿には「高市早苗に言ってくれません?(笑)」「ここまで見事なブーメランも珍しい」などのコメントが殺到する事態となった。元衆院議員の初鹿明博氏もXで「そうですね。では、高市総理に自分で文春の音声を確認して木下秘書本人の声かどうかを明らかにするよう党の広報として要請してください」と皮肉を込めて反応した。
高市首相は6月5日の参院予算委員会でも、問題の音声について再び追及を受けた。「秘書本人かどうか、あのような音声を元に判断することは難しい」と述べ、疑惑を完全否定できないままだった。
「特定のポストに対してではなく、報道のあり方についてのコメントです」
そんな中、鈴木議員は同日、Xで一般ユーザーに返信する形で「特定のポストに対してではなく、報道のあり方についてのコメントです」と2日前の自身の投稿の真意について説明した。さらに批判的なコメントを書き込む一般ユーザーに「おんなじ事しか投稿しない人がいるんです」「カルシウム足りてますか?と心配になりまして。。」と挑発的な文言で応戦した。
2月の衆院選では、党広報本部長として高市首相の人気に乗っかった戦略を指示し、党の大勝利に貢献したとされる鈴木議員。その一方で、メディア報道や党への批判に対しては攻撃的な言動が目立つ。疑惑の渦中にいる高市首相まで巻き込んだ今回の炎上商法とも取れるSNS発信は、果たして吉と出るか、それとも凶と出るのか。