東海道新幹線のメンテナンスを手がける愛知県内の電気工事会社が、鉄道架線のような場所で作業員がダンスする様子を撮った動画をTikTokに投稿したところ、批判も相次ぐ騒ぎになった。
動画は、翌日には非公開となり、同社は、その後、経緯について公式サイトで説明した。社内の訓練設備で撮影したとしたが、「配慮が十分ではない発信」となったとして謝罪した。
「そこは、ふざけていい場所じゃない」と炎上状態に
ロックバンド「サカナクション」の楽曲「夜の踊り子」が、13年前の発売を経てSNS上でバズっているが、この歌に乗って、鉄道架線がかかったような柱の上で、男性作業員5人が体を動かしていた。
どうやら、楽曲のMVで披露されるダンスをまねている様子だ。
1人が先頭で踊り子のまねをし、後ろの4人は、棒を持って舟を漕いでいるかのような仕草をしている。先頭の男性は、両手で天も指差すなどノリノリだ。
「高所のため墜落制止用器具をしっかり使用しています」
動画では、19秒すべてにこんな注意書きが表示されてはいた。
投稿したのは、一宮市内の電気工事会社「トーカイテック」だ。
公式サイトによると、この会社は、1987年に創業した。現在は、JR東海などから受注を受けて、東海道新幹線の電車線に関するメンテナンスや改良工事を行っている。
同社では、TikTokのチャンネルを開設し、和気あいあいとした作業員の日常風景を撮った動画をいくつも投稿していた。今回の動画は、2026年6月13日に公開された。
すると、鉄道架線のような場所でのダンスだっただけに、コメント欄などには、危険性などを指摘する声が相次ぐようになった。24日になって、X上でも次々に動画が取り上げられ、炎上状態になった。
「そこは、ふざけていい場所じゃない」「会社としてはやりすぎだな」「なにが面白いと思ってこんな動画出したんだ」
「安全に携わる企業として配慮が十分ではない発信」
中には、鉄道架線をかけているような柱が少し変だとして、「AIだろ」などと推測する向きもあった。
一方で、会社敷地内に保守点検の訓練設備があることから、そこで撮影された可能性があるとの指摘も出た。「別に良いんじゃない?」「ここまで責めなくても」「電気通してないだろうから、感電とかの心配もない」といった意見も多かった。
動画を投稿したトーカイテックは6月25日、「TikTok動画に関するお知らせ」を公式サイトに出し、経緯について説明した。
そこでは、動画は、「当社敷地内に設置した訓練設備において撮影した」とし、「実際の鉄道設備で撮影したものではありません」と強調した。また、「撮影時には墜落制止用器具を着用し、安全管理のもとで実施しております」と改めて書いたうえで、投稿については謝罪した。
「しかしながら、安全に携わる企業として配慮が十分ではない発信となり、多くの皆様にご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます」
動画は、多くの意見が寄せられたため、投稿翌日の14日に非公開としたことも明らかにした。
そのうえで、「当社では今回のご意見を真摯に受け止め、今後はSNSでの発信内容についても十分な確認を行い、安全を最優先とした情報発信に努めてまいります」としている。
「AI生成動画ではありません」
今回の動画について、トーカイテックの担当者は6月25日、J-CASTニュースの取材にメールで説明した。
それによると、「AI生成動画ではありません」といい、社員が6月初め頃に撮影した実際の映像だとした。また、「当社の訓練設備には電気は流れていません」と安全性を強調した。
SNS運用についても、次のように説明している。
「当社の訓練設備や日頃の教育・訓練の様子を紹介するとともに、鉄道電気工事という仕事を広く知っていただき、業界理解の促進や採用活動につなげたいとの考えから運営しています。その中で現在人気となっている動画構成を取り入れ、楽曲もそれに基づいて選択したものです。音楽につきましては、TikTokで利用可能な楽曲の中から選択したものです。当該動画は、当社において企画し、管理者の立会いのもとで撮影したものです」
とはいえ、批判も受けたことについては、こう述べた。
「訓練設備であり、安全管理のもとで実施したものであっても、安全に携わる企業として誤解や不適切な印象を与える発信となったことを真摯に受け止めております」
「今後は、SNS発信に関する事前確認体制を見直すとともに、社内ルールを整備し、安全を最優先とした情報発信に努めてまいります」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)