韓国では、大統領選で中央選管が1万件超の削除要請
―― 韓国では、「韓国中央選挙管理委員会」が乗り出して、25年6月投票の大統領選でAI生成動画や違法コンテンツに対し、削除要請を行ったと聞きました。
「韓国は日本とは比べものにならないくらいSNSを使った選挙戦が行われていますし、相手陣営を誹謗中傷する書き込みや動画などがネットに挙がっている。選挙戦でのAI利用も進んでいます。韓国の中央選管の選挙研修院で教授をつとめた経験がある福島学院大学の高選圭教授のレポートによると、削除要請は10488件に上ったそうです。選挙運動のサイバーパトロール要員を臨時で増やし、誹謗中傷などの記事が挙がったときの仕組みをつくるなどの対策を整備しています。警察も、大学などの研究機関と連携して取り締まりの強化を試みています」
―― 日本には、「中央選挙管理委員会」がありません。なぜですか。
「戦前は内務省を中心とした選挙管理の体制がありました。戦後の民主化で、戦前の統治体制を解体する流れの中で中央選管もなくなりました。総務省に選挙を扱う選挙部があるものの、選挙管理の実務は自治体の選管が請け負う体制になりました。韓国では、予算も人材も潤沢ですが、日本では、取り締まりも自治体選管任せです」
――平井伸治鳥取県知事(全国知事会元会長)は2025年2月、改めて条例を作って「2馬力選挙」や「ポスター枠譲渡」などの防止に努めてきた。河村教授も、SNSで誹謗中傷攻撃を受けた村井嘉浩知事の宮城県で、対策検討に乗り出しています。
「『宮城県選挙期間中の情報流通の諸課題への対処に関する検討会』(座長、京大の曽我部真裕教授)で、2026年春から独自にファクトチェックの方法の研究など検討を続けています。国会でも、選挙制度調査会のような第3者機関で、本格的な国民議論を急がなければいけません」