トランプの圧に屈した? FIFA規律委員会にスター選手を裁けるか
今大会は、FIFA規律委員会にとっても受難の大会かもしれない。
決勝トーナメント1回戦、アメリカはボスニア・ヘルツェゴビナに2−0で勝利した。
しかし、そのなかでアメリカのフォラリン・バログンがレッドカードを受けて退場処分となり、規定により次の試合も自動的に出場停止となるはずだった。
その判定をめぐり、トランプ大統領がFIFAのインファンティーノ会長に処分の見直しを求め、規律委員会は規律コード第27条を適用して出場停止処分の執行を「1年間猶予」するという前代未聞の裁定を下したのだ。
開催国のひとつであるアメリカの圧に屈したともとれるこの裁定に、UEFAは「レッドラインを越えた」「前例がなく、理解しがたく、正当化もできない決定に驚愕している」と強い言葉で反発した。
また、イギリスの『タイムズ』紙は、この決定が規律委員長モハメド・アル・カマリ氏(UAE)の単独判断で、他の17人の委員には相談すらなかったと報じている。
インファンティーノ会長は、この件で電話を受けたことを認めつつも、「判定の見直しは独立した機関が行うもので、自分は介入していない」と関与を否定している。
ともあれ、こうした状況下でFIFAの規律委員会が、アルゼンチンのスターたちを裁けるのだろうか。日本時間7月19日16時現在、明確な処分は下されていないもようだ。
現状では、FIFAが厳罰に踏み込むと予想する識者は少ない。
アメリカの老舗スポーツ誌『Sports Illustrated』は「今回のケースで即座に処分を下せる可能性はほぼゼロだ。(FIFAがもし厳罰を科したくても)目玉イベントを前に混乱を招くような事態を避けるため、より慎重な姿勢を取るだろう」と論じている。
「政治的中立性」の理念を重んじるか、商売としてのW杯を重んじるか、FIFAの判断に注目が集まる。