英国労働党のアンディ・バーナム氏(56)が、水道、電力の再公営化などを掲げて2026年7月20日に新首相に就任した。1月に米国のニューヨーク市長に就任したゾーラン・マムダニ氏(34)は家賃の最長2年凍結などを打ち出して市民の喝采を受けている。7月29日放送のBS-TBS「報道1930」は、英米の2人のリベラル勢力のリーダーの動きを紹介、「高市一強」の前に元気のない日本の野党勢力の巻き返しに可能性はあるかに焦点を当てた。
英国「富裕層からの付加税を新設して財源を確保」
英国労働党は2024年7月の総選挙で戦後最大の411議席(下院定数650)を獲得、14年ぶりに政権に返り咲いたが、そのスターマー首相が26年春の地方選挙で、物価高や公共料金の高止まりが響き、右派ポピュリストのリフォームUKや緑の党が大躍進した結果惨敗、辞任することになった。
「報道1930」では、バーナム新首相が、グレーター・マンチェスター市長時代にバスの再公営化や公営住宅の建設を推進、国からの交付金や富裕層からの付加税を新設するなどして財源を確保した経緯を紹介した。サッチャー時代の「新自由主義」から脱却し、地域経済の再生を掲げるが、財源を確保できるかがポイントだと指摘した。
ニューヨーク「富裕層に新規課税、家賃を凍結」
マムダニ・ニューヨーク市長は、富裕層に新規課税をして家賃を凍結したことから「急進左派」とされ、トランプ大統領は「共産主義者」と決めつける。
番組では、マムダニ氏が市バス無料化や保育無償化を打ち出し、市営スーパーの5店舗で食料品などを30%引きにして市民の喝采を浴びていることも紹介した。富裕層に対しては「セカンドハウス税」を新設、居住実態がなく投機目的の高級マンションの所有者に課税、約800億円の税収を目指している。マムダニ氏の政策を実行するには、1兆6000億円の財源が必要とされている。
日本「イデオロギーより暮らしの土台の再構築」
マムダニ市長について、中央大の中北浩爾教授は「民主的社会主義と言うスタンスで、日本では『れいわ』に近い。住宅問題は最も深刻で、日本の左派にとっても復活のカギになる政策だ」と指摘する。英国政治が専門の早稲田大の高安健将教授は、「イデオロギーより、暮らしの土台をどう再構築するか、生活が照準となっている。ロンドンでは住めない家賃となっている」という。
日本の中道・左派勢力の現状はどうか。
中北教授は「数が減ったばかりでなく、態勢立て直しのめどもたたない。有権者の需要があるのに自覚もしていない。リーダーシップが必要だ」と厳しい。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)