指定席は、座席が決まっているからこそ、移動中も落ち着いて過ごせる空間として利用する人が多い。しかし、荷物の置き方や座席の使い方をめぐるトラブルに悩まされるケースもある。
日本民営鉄道協会が実施した「2025年度駅と電車内の迷惑行為ランキング」(2025年10月1日~11月30日にウェブ上で実施、5202人が回答)では、「荷物のもち方・置き方」が20.1%で7位にランクイン。荷物を座席に置いたり、身体や荷物が隣の人にはみ出したりする行為を迷惑と感じるという声も寄せられている。
中野美咲さん(仮名・30代)は、ひとりの何気ない行動によって落ち着いて過ごせなくなった経験をしたという。
パソコンも荷物も広げ、まるで2席を使っている状態に
その日、中野さんは新幹線の指定席を利用していた。
移動時間を利用してゆっくり休むつもりだったが、近くの3人掛けの座席に座っていた男性の行動が気になったという。
「真ん中の席に座っていた男性が、ノートパソコンやお菓子、お酒などを広げていました」
本来であれば、自分の座席内で収まるはずの荷物だが、パソコンや腕は両隣のスペースにまで広がり、椅子の一部にも荷物が置かれていた。
「まるで2席分を使っている状態でした。指定席料金を払っているのに、とても窮屈に感じました」
さらに驚いたのは、男性が靴を脱いだことだった。
長時間の移動で足が疲れることは理解できたものの、靴を脱いだ直後から臭いが周囲に広がったという。
「車内は窓を開けられませんし、空調もあるので臭いがこもりやすいですよね。数席離れた人も気づいているようでした」
「席を立ちたいのに立てない」
中村さんは、窓側の席に座っていた。席を立ちにくい状況だった。男性はパソコン作業に集中しており、荷物も広げたままだったからだ。
「何度か席を立とうと思いましたが、作業の邪魔になりそうな雰囲気で、声をかけることをためらってしまいました」
結局、目的地に着くまで席を立つことはできなかったという。
「身動きが取れない時間が、とても長く感じました」
周囲を見渡しても、男性に注意する人はいなかったようだ。
「不快に感じている人は多そうでしたが、トラブルになりたくないという気持ちがあったのだと思います。私も何も言えませんでした」
これまでにも、車内での迷惑行為を見かけたことがあったが、今回のように指定席で周囲のスペースを占領し、靴を脱いだまま過ごす人に遭遇したのは初めてだった。
「料金を支払って利用している指定席なのに、落ち着いて過ごせませんでした」
指定席は、多くの人が長時間過ごす共有の空間でもある。自分では何気ない行動でも、周囲に影響を与えていないかを意識することは必要だ。