「番組制作の舞台裏をコミカルかつリアルに描いた作品でした」
斎藤元彦兵庫県知事は2026年8月2日、自身のXで映画「偏向報道」を鑑賞したと投稿した。8月5日の定例記者会見では、記者からなぜこの作品を鑑賞して、SNSに投稿したのかといった疑問の声があがった。
監督「知事も出てください」と斎藤知事に出演オファーも
斎藤知事は8月2日、自身のXで映画「偏向報道」を鑑賞したことを報告した。該当のポストは7日時点で6.1万いいね、1.2万リポストされている。
斎藤知事は「偏向報道」のポスターと自撮りした写真とともに「夏休みには、ぜひ映画館にお立ち寄りください。本日伺ったキノシネマ神戸国際は、戦後から続く長い歴史を持ち、震災後に復興のシンボルとして復活した旧神戸国際松竹を継承したアットホームな雰囲気の映画館です。国内外のアート系作品など、魅力的で特色ある映画を上映されています」と投稿した。
そして、
「今回、映画『偏向報道』を観ました。番組制作の舞台裏をコミカルかつリアルに描いた作品でした。個人的には、鳥居みゆきさんが、一世を風靡した『ヒットエンドラーン』のイメージから一転、存在感のある演技をされていたのが印象的でした」
と感想を述べた。
また「県内には各地に映画館や劇場があり、文化コンテンツの上映や興行を通じて、私たちの暮らしを豊かにしていただいている大切な地域産業」と訴えた。
映画は、元テレビ朝日「スーパーJチャンネル」のディレクター、荻野欣士郎氏が監督を務めた。24年秋の兵庫県知事選を巡る報道に着想を得て、荻野氏自身のニュース番組に携わった経験を踏まえ、地方都市のテレビ局を舞台に知事のパワハラに関する情報操作や世論誘導などを描いた作品。主演の女性ディレクター役をお笑いタレント・鳥居みゆきさんが演じ、6月19日より公開されている。
一方で、荻野氏のSNSでは2025年7月、荻野氏が斎藤知事と対面し「知事も出てください、知事役で」と話す荻野氏に対し、知事が「わかりました」と和やかに応じる動画が投稿されている。
「前回は洋画の方を見たので」
5日の定例記者会見では、記者からXの投稿にあった「番組制作の舞台裏をコミカルかつリアルに描いた作品」の「リアル」はどういう意味なのか、という質問があった。
斎藤知事は「映画というものも大切な兵庫県にとって地域産業。夏休みに入っている中、県内の地域活性化、産業振興にもやはり大事な産業ですから、そういった観点でお伝えさせていただいた。映画の内容は番組制作の舞台裏をコミカルかつリアルに描いた作品だという風に考える」と語った。
この映画を選んだ理由については「私自身は休日や時間があるときに、基本的にプライベートで一人でふらっと映画を見に行く。今回も同様で、選定した映画はそのときに応じて、適宜、選ばせていただくというかたち。前回は洋画の方、マイケル・ジャクソンさん(映画「Michael/マイケル」)を見た後でしたので、今回は邦画がいいかなという風に思った」と述べた。
また、記者が知事自身に対するさまざまな報道を偏向報道と思っているのかと尋ねると、
「報道機関におかれましては、それぞれの独自の取材等を通じて、記事や番組を適宜発信されて、それを県民や国民の皆さんの知る権利に対して、しっかり社会に対応していただいていると感じている」
と述べた。記者が、
「(知事が自身に対する報道を)偏向報道と思っていないと、認識したのですが、あっていますか」
と確認すると、
「それぞれのメディアさんがそれぞれの取材等に応じて、それぞれの立場で事実であったり、いろんな意見をですね、報道されている風に思う」
と述べた。
「ちいかわってなんですか」
別の記者は、映画について、
「偏向報道という言葉は、兵庫県で斎藤知事の支持者が知事を事実に基づいて批判するメディアを攻撃する象徴的な言葉として、使われてきた」
と指摘。
「今回の知事の発信は、公然かつ明確に県民を分断する一方の勢力の側に知事が立ったと見て取れる。これまでの言動とは質的に違うと思う。全体の奉仕者である公人の立場と相いれないのでは」
と問いかけた。
「映画というものは、先ほど申し上げましたけれども、やはり文化、コンテンツの上映を通じて、私たちの暮らしを豊かにする大切な地域産業だという風に考えている」
とし、「大切な地域産業である映画、劇場産業をやはり多くの人たちにご利用いただきたいということ。私自身はこれまでも映画鑑賞については発信させていただいたりしている」と語った。
記者は「すべての県民のために働いて、どんな県民の意見も丁寧に聞くべき県知事の立場をもはやかなぐり捨てたといってもおかしくないのではないかと思う。もはや県知事の資格はないのではないかと痛感している」と主張した。
また別の記者は、告発文書問題を巡る書籍などで知事が「行政の長ですから特定の書籍や作品について言及を控えます」という発言をしていたと指摘し、
「非常に問題作というか、挑発的な、あるいは内容的にちょっと疑問符のつく映画をあえてSNSで発信され、この場でも感想を述べているのはなぜか」
と尋ねた。
斎藤知事は、映画や劇場が大切な地域産業だとした上で「これまでも映画鑑賞した際には、マイケルや国宝とか発信してきた。これまでやらせていただいたりしている中で今回もさせていただいた」と話した。
記者は、文書問題をモチーフにした作品を発信することは、ある種報道に対するメッセージ、見解を出している風に受け止められても仕方ないと思うのですが、その意図はあったのか、と尋ねた。
そして「映画に行きましょうというのであれば、ちいかわ(アニメ映画「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」)でいいじゃないですか」とヒット作品を引き合いに斎藤知事に聞くと、知事は、
「ちいかわってなんですか」
と知らない様子。記者が「ちいかわ知りませんか、むっちゃ話題になってますよ」と答えると、知事は、笑みを浮かべながら「本当ですか。次はそれを見てみたいと思います」と応じた。
記者の質問には「映画の内容については、いろいろいわれましたけど、ネタバレになる可能性もありますので、この場でのコメントは控えたいという風に思う」と述べた。