「起用予定については従来よりお答えしておりません」
加藤さんの発言後、駒田健吾アナがすかさず間に入って、こう付け加えた。
「加藤さんが『領有』という言葉をお使いになりましたけど、正しくは藪中さんのおっしゃる実効支配しているという形ですよね」
一方、膳場アナは、「でも、おっしゃるとおりに、政治関係は悪化しても、個人レベルであるとか民間レベルの交流というのは、大切にしていきたいですね」と締めくくってしまった。加藤さんからは、「ロシアが領有」発言について、何らかの弁明もなかった。
加藤さんの発言は、放送後にネット上で大きな話題になった。疑問や批判が多く、「歴史的事実を歪めて伝える」「国益を自ら投げ捨てるに等しい」といった指摘がされている。「TBSの認識を疑う」と同局の運営を疑問視する意見も出て、「サンモニが北方領土を否定し始めた」との極論すらあった。
発言について、他にも認識のあやふやさを挙げる指摘が出た。加藤さんは、「戦争の最後の段階」でロシアが領有と主張したが、外務省サイトの北方領土に関する記述によると、日本の終戦後の1945年8月28日から降伏文書調印後の9日5日にかけて旧ソ連軍に占拠されたとされている。必ずしも、「戦争の最後の段階」とは言い切れないところがある。
加藤さんは、その生まれ育ちからロシアとの関係は深いようだ。
公式サイトなどによると、帝政ロシアが築いたとされる旧満州(中国東北部)のハルビン生まれ。ロシアの文化になじんだ父親の影響を受けた。68年には初の海外公演としてソ連を訪問したほか、旧ソ連で大ヒットした名曲「百万本のバラ」を自ら日本語に訳して87年に発表し、長年歌い続けている。
とはいえ、「ロシアが領有」などの発言は、事実認識として根拠が乏しい。TBSが加藤さんにコメンテーターとして発言を求めたことに問題はないのだろうか。
同局の広報室は26年8月17日、J-CASTニュースの取材に対し、「加藤登紀子氏の『領有』との表現につきましては、直後に番組キャスターのTBSアナウンサーより『正しくは実効支配』と訂正しております」と答えた。
加藤さんにコメントを求めた妥当性や今後も起用を続けるのかについては、「コメンテーターの起用予定については従来よりお答えしておりません」とするに留まった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)