出張で新幹線を利用する際、移動時間を仕事に充てる人もいるだろう。資料を確認したりパソコンで作業したり、目的地に着くまでの間も貴重な時間だ。
そのため、仕事のしやすさを考えて窓側などの座席を選ぶケースもある。しかし、予約した席を予定通り利用できなければ、思っていた移動中の過ごし方ができなくなってしまう。すると、その後の仕事にも影響しかねない。
小野寺修平さん(仮名・40代)は3年前、出張で東海道新幹線を利用した際、指定席をめぐる忘れられないトラブルに遭遇した。
仕事のために予約した窓側指定席に「別の乗客」が
この日、小野寺さんは到着後にクライアントへのプレゼンを控えていた。
そこで、新幹線での移動時間を利用して資料を作成しようと考えて、パソコンの充電ができるコンセントのある「窓側指定席」を予約したという。
ところが乗車後、予約していた座席に向かうと、そこにはすでに数人の外国人グループが座っていた。
「自分の席を間違えているのだと思いました。指定席の座席番号を何度も確認しましたが、やっぱり予約した席で間違いなかったんです」
小野寺さんは、相手が座席を間違えているのだろうと思い、英語で声をかけた。
「Your seat is wrong! Show me your ticket!」
英語なら通じると思ったのだが、相手は取り合おうとしなかった。それどころか、小野寺さんを睨みつけるような態度を見せ、席を移る様子もなかったという。
「どうずればいいのか、分からなかったですね。しばらく、通路に立っていることしかできませんでした」
すると、車掌が巡回してきたそうだ。
小野寺さんが事情を説明すると、車掌は座席を確認。外国人グループに移動するよう何度も伝えた。
万全の状態でプレゼンに臨むつもりだったのに
しかし、相手は応じなかったという。やり取りが続いた後、車掌から小野寺さんへ提案があった。
「申し訳ございません。別の空いている席をご案内します」
揉めることを避けたかった小野寺さんは、仕方なく「その提案」を受け入れた。しかし、案内されたのは3人掛け座席の中央だった。
「仕事をするために窓側を予約していたのに、パソコンも充電できないんです。それでもプレゼンがありますから、資料を作成しないわけにはいきませんでした」
小野寺さんは、中央席でパソコンを開き作業を始めた。
なんとか資料を完成させることはできたものの、その時点でパソコンのバッテリー残量は、半分を切っていたそうだ。
「この後、クライアントのところでパソコンを使う予定でした。途中でバッテリーが切れたらどうしようと思って、生きた心地がしませんでした」
本来であれば、新幹線の車内で落ち着いて資料を仕上げ、万全の状態でプレゼンに臨むつもりだった。しかし、トラブルによって「その予定」は大きく崩れてしまったのだ。
「ちゃんと予約していたのに、自分が別の席へ移動することになったのは今でも納得できません」
訪日外国人の利用も多い新幹線では、言葉の違いから乗客同士で意思疎通が難しくなる場面もあるだろう。今回のように相手に意図が伝わらないときは、早い段階で乗務員に相談することも一つの方法だ。