協会は「公式見解ではございません」
さらに、アニメ化への賛否の声がSNS上で相次ぐ中、一部の投稿者が今回の私信をXにも転載。あたかも当事者全体が「作品自体が差別的であるとは考えておりません」「現状の課題を社会に問いかける啓発的な側面もある」との立場を示しているかのように発信した。
この文面をめぐり、賛成派は反対派を批判する際の論拠として紹介し、過剰な反発が起きている、などと主張。一方で反対派は、この回答は一団体の見解に過ぎず、それを当事者の総意のように扱うのは問題だ、といった反論を展開した。さらに一部には、協会そのものにも批判を向ける投稿も見られた。
発達障害当事者協会は取材に対し、SNS上で拡散した文面について、つぎのように回答した。
「不特定多数への公開を想定していない、お問い合わせに対応した担当者個人による回答でございます。匿名掲示板等を通じて不特定多数に流布することは想定しておらず、当会としての公式見解ではございません」
そのうえで、「個人の回答が本人の意図しない形で拡散し、あたかも知的障害・発達障害当事者全体の総意であるかのように扱われているケースが見られる」と指摘し、「事実と異なるものとして受け止めております」と説明した。
協会は、「特定の作品のアニメ化の是非についてコメントする立場にはございません」としている。
原作の漫画自体に対しては、「救済を目的とした描写ではないにせよ、弱者を揶揄する意図を持ったものではなく、表現の自由の範囲にあると認識しております」との見解を示した。
一方で、「作品をきっかけに現実の当事者が揶揄され、不愉快な思いをされる方がいることも承知しています」とも言及し、「当協会としては、課題の存在を踏まえ、講談社に対して一定の対応を要請いたしました」と明らかにした。
今後は、差別を誘発しない表現をアニメ制作に反映するなど、出版元である講談社の対応が問われる段階だと説明。協会としては追加の対応を予定していないとの方針を示した。
一連の経緯としては、協会が講談社に「一定の対応」を要請した後、製作委員会と作品公式が7月27日に声明を発表した。なお担当者の一人によれば、製作委員会は当初から監修を入れる方針だったという。
※取材は26年7月28日に行われた。
【予告】後編では、要望に対応した担当者本人が、漫画「みいちゃんと山田さん」の啓発的な側面について説明。取材に同席した別の担当者も作品の時代背景について語った。また、注意欠如・多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた当事者の女性が、自身の経験をもとに、作品に対する思いを打ち明けた。26年8月28日に掲載予定。