2026年8月31日のBS-TBS「報道1930」は、高市早苗首相の対中外交は「無策」、トランプ米国大統領へは「盲目的な追従」姿勢だとして、元外務省の田中均・外務審議官は「これは長続きしない。中国に説得力あるビジョンを語らなければ」と批判した。
「対米追従、盲目的に抱きついているのでは長続きしない」
田中氏は、2002年9月に小泉純一郎首相が訪朝、初めての日朝首脳会談を実現した時に「裏の立役者」(外務省アジア大洋州局長)として奔走した。田中氏は最近の日中関係について、「(高市首相は)対中外交なんかやってない。盲目的に対米追従して、盲目的に抱きついて。それでは長続きしない」と断言する。
その背景として、「日本の対中感情は80%以上の人が嫌中なので、中国に強い態度をとることが高市さんの支持母体、世論をより固めることにつながる」と、首相の視線が内向きであると指摘する。
「これまでも日本の保守政治家は、中曽根康弘さんであれ、小泉純一郎さんであれ、安倍晋三さんであれ、きちんと対中関係を考えてきた。しかし、この方はまったく考えていない。危ないですよ」と厳しい。
超党派議連3人のうち自民は「人事の脅し?で引き返した」
超党派の国会議員3人が8月24日から訪中、中国共産党幹部と面会した。そのうちの一人、伊佐進一氏(中道)は、「1972年(の日中国交正常化)以来、最も交流の少ない時期で、非常に厳しい意見交換だった」と話している。
ところが、「報道1930」では、3人のうち自民党の議員は中国側と会わずに帰国したことを指摘した。共同通信元編集局長の後藤謙次氏は、「おそらく、この後に高市さんの党人事があるから(恐れたせい)では」という。日中友好議員連盟(会長、森山裕・前幹事長)らときちんとした連絡をせず、「日本チームとしての態勢」を取らないままの訪中だったようだ。
「意地と感情だけでは外交はできない」
後藤氏は、高市首相の外交姿勢について、首相に近い外交ブレーンの話として次のように語る。
「意地と感情だけでは外交はできない。今必要なのは(国益の)計算と大きな絵図面をどう描くのかだ。しかし、高市首相は、どうも聞く耳を持っていない」。さらに後藤氏は話す。「これまで積み重ねてきた日中外交の歴史を、いとも簡単に積み木崩しのように壊してしまうというのが、高市さん。いつまでやるんですかと言いたいくらい。危うい」。
TPP(環太平洋パートナーシップ)の元首席交渉官で安倍首相と米国との難交渉を続けてきた大江博氏は、安倍首相は違ったという。
「決裂も交渉カードに入れて、言うべきことを言って、信頼関係を築いていた。米国に対して忖度ばかりしていると、結果、米国からも評価されないと思う」と話す。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)