円安を放置なら物価高は止まらず、利上げすれば住宅ローン上昇が重荷 高市首相「責任ある積極財政」の行く末

円安を止めるために利上げをしても、家計と国の財政を圧迫する?

   ならば、アメリカの言うとおり利上げして、円安を止めればいいのではないか。

   そうとも言いきれないのが、やっかいなところだ。利上げは利上げで、市民生活に影響を与える。その代表例が、住宅ローンだ。

   8月18日の債券市場で、長期金利(10年物国債の利回り)は2.9%まで上がった。長期金利は住宅ローンの固定金利に反映される。一方、日銀は政策金利を6月に0.75%から1.0%へ、31年ぶりの高さに引き上げている。

   変動金利は、この政策金利(短期金利)に連動する。多くの銀行は短期金利を目安に変動金利を決めており、日銀が利上げすれば、その動きはローンの返済額に影響する。

   仮に4000万円を35年ローンで借りたとして、金利が0.1%上がるだけで、総返済額は約78万円も増えることになる。

   現在、新規の住宅ローンは変動型が主流である。変動型は、金利が低いあいだは返済が軽くて助かるが、上がりはじめれば家計を直撃する。低金利を前提にローンを組んだ世帯ほど、利上げは家計に大きな打撃となる。

   懐が痛むのは一般家庭だけではない。国も1000兆円を超す借金を抱えており、金利が上がれば利払いが増えて財政を圧迫する。その穴埋めは、まわりまわって税や新たな国債という形で、結局は私たちのところへ戻ってくることになりかねない。

   さらに悩ましいのが、高市政権の看板政策「責任ある積極財政」との矛盾だ。食料品の消費税減税は財政を膨らませ、かえって円安を招きやすい。その一方で、円安を止めるには利上げがいる。つまりアクセルとブレーキを同時に踏むような話なのである。

   円安を放置すれば物価高で庶民が苦しみ、円安を止めれば利上げで住宅ローンと財政が圧迫される。どちらに転んでも、割を食うのは私たちの暮らしであり、茨の道であることは明らかだろう。

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