出版大手KADOKAWAの角川歴彦元会長(83)が、同社の夏野剛社長(61)らに損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が2026年9月16日、東京地裁で開かれ、角川元会長は法廷で、夏野氏らKADOKAWAがまとめた調査委員会の報告書がずさんで誤りが多く、「半生をかけて培ってきたすべてを奪い去った」と訴えた。このところ、不祥事が発覚した場合、第三者を入れた調査委員会を設置して対応する企業が増えているが、今回の訴訟では、調査委員会のあり方そのものが問われ、上場企業の不祥事対応に影響を与えそうだ。
刑事裁判に影響を与える検証委員会の「報告書」
角川元会長は1月22日、東京五輪・パラリンピックのスポンサー事業にからむ贈収賄事件で懲役2年6か月、執行猶予4年の有罪判決を受けている。大会組織委員会元理事側への資金提供について「把握していない」「知らなかった」と無罪を主張したが、退けられた。
今回の調査委員会をめぐる損害賠償訴訟で角川元会長が問題視するのは、23年1月下旬にKADOKAWAのガバナンス検証委員会が公表した報告書だ。
「角川氏に贈賄リスクを含めて詳細な報告がなされ、角川氏が了承した」などと記されている。「贈賄に該当する可能性が高い行為」とも指摘され、刑事事件の裁判に多大な影響を与えたと訴えた。また、実際にはなかった社内会議が報告書の中で数多く引用され、角川元会長は直接、ヒアリングを受けておらず、恣意的な報告書だと訴えた。
角川元会長の代理人の郷原信郎弁護士はこのガバナンス検証委員会の報告書について「無罪推定という大原則に逸脱している」とし、「公平な裁判を受ける権利や、被告人としての防御活動を困難にさせる」と説明。KADOKAWAの担当社員の供述や裁判官の事実認定を誘導した可能性があると述べ、調査の中心となった弁護士も夏野氏と共に提訴した。