高市早苗首相は2026年9月16、17日の自民党人事・内閣改造で新体制を発足させたが、46歳の若手を国対委員長に起用した人事と参院のドンとも言われた幹事長を交代させた「2つの決断」は、今後の国会・政権運営を危うくする大きなリスク・爆弾ともなりかねない。
46歳を国対委員長に起用、国会運営の効率化を目指す
いずれの人事も、これまで与野党が積み上げてきた「根回し」など伝統的な国会運営手法に違和感をもつ高市首相の強い意向によるものとされる。
国対委員長に新任された村井英樹氏(46)は、前任の梶山弘志氏の下で筆頭副委員長をしていたが、閣僚経験はない。自民党の歴代国対委員長は大島理森・前衆院議長や森山裕・前幹事長ら閣僚経験はもちろん、与野党に広い人脈をもって法案審議などの根回しができる経験豊富なベテランが務めてきた。
一方で村井氏は、「首相は国会出席よりも政策判断や外交に時間をさくべきだ」と主張するなど、国会運営の「効率化」も目指し、高市首相に注目されたようだ。
人脈持つ石井準一氏は参院幹事長を交代させられた
参院幹事長を交代させられた石井準一氏(68)は、もともと派閥の影響が薄い参議院で人脈が広く、26年4月には「自民党参議院クラブ」を立ち上げ、40人超が参加した。与党が過半数割れの参院では、高市氏の1月の突然の解散のために予算審議が大幅に遅れ、新年度予算の成立が危ぶまれたが、石井氏の尽力により1週間遅れで成立にこぎつけた。しかし、「年度内(3月中)成立」にこだわった高市首相は、石井氏に不満が大きかったと言われる。
9月17日の朝日新聞によると、村井、石井両氏をめぐる人事について、麻生太郎副総裁は、今後の国会運営が厳しくなるとして、いずれも「意に沿わなかった」という。
高市首相の心境は「自分の思いを村井氏が実現してくれた」?
9月16日のBS-TBS「報道1930」に出演した政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「6月26日が分水嶺だった」という。
同日の衆院議院運営委員会で与党側は、定数削減法案と副首都法案の審議入りを強行決定した。猛反発した野党側は、10日余りにわたって一切の審議を拒否、会期末国会の大混乱の引き金となった。
「この前夜に、麻生副総裁、鈴木幹事長らは、国民民主党の玉木雄一郎代表らと会談、委員会強行はやめてほしい、と言われていたんです」
と田崎氏は明らかにした。この決定を衆院議運委の筆頭理事として野党側に伝えたのが、今回の抜擢された村井氏だった。
「官邸(高市首相)から見ると、村井さんもよくやってる、と思ったんでしょう」と田崎氏は言う。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)