くら寿司「ひとり負け」の苦境 スシロー・はま寿司と明暗...営業利益45%減、「ちいかわ」コラボ中止も痛い

   回転ずし「3強」の明暗が分かれている。

   スシローとはま寿司が売り上げ、利益ともに躍進する一方、くら寿司は売上高が前年を上回りながら大幅な減益となった。上半期の国内既存店では客数も前年割れ。2026年9月には最低価格を115円から110円へ引き下げたが、同時に値上げした商品もある。

   はま寿司が「一皿110円」で安さを前面に押し出し、スシローは値上げしながらも満足感で客を呼び込む。くら寿司はその間にはさまれ、苦しい戦いを強いられており、現状では「一人負け」状態だ。

  • 2020年1月にオープンした、くら寿司のグローバル旗艦店 浅草ROX(くら寿司の発表資料より)
    2020年1月にオープンした、くら寿司のグローバル旗艦店 浅草ROX(くら寿司の発表資料より)
  • 「ビッくらポン!」で当たるちいかわの景品(くら寿司の公式サイトより/(C)nagano / chiikawa committee)
    「ビッくらポン!」で当たるちいかわの景品(くら寿司の公式サイトより/(C)nagano / chiikawa committee)
  • 2020年1月にオープンした、くら寿司のグローバル旗艦店 浅草ROX(くら寿司の発表資料より)
  • 「ビッくらポン!」で当たるちいかわの景品(くら寿司の公式サイトより/(C)nagano / chiikawa committee)

売上高は増えたのに営業利益は45%減

   くら寿司が9月11日に発表した2026年10月期第3四半期累計(25年11月~26年7月)の連結決算は、売上高が前年同期比4.4%増の1896億8400万円だった一方、営業利益は45.2%減の28億4500万円。経常利益も37.7%減の34億6900万円まで落ち込んだ。

   国内事業はかなり厳しく、売上高が1.2%減の1309億3000万円、経常利益は40.8%減の33億9400万円だった。月次情報によると、25年度上半期の既存店は売上高こそ1.3%増えたが、客単価が5.4%上昇した一方で客数は3.9%減った。値上げなどで客単価は上がっても、来店客の減少が響いている格好だ。コメなどの原材料価格は依然として高く、人件費の上昇も利益を圧迫している。

   海外事業も手放しでは喜べない。北米事業は売上高が22.2%増の372億400万円まで伸びたが、6億4500万円の経常赤字。前年同期の5億9600万円から赤字幅が広がった。店舗を増やして売り上げは伸ばしているものの、利益には結びついていない。

はま寿司は一皿110円の安さ、スシローは満足感で客数増

   ライバルは好調だ。スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIESの2026年9月期第3四半期決算では、国内スシロー事業の売上収益が前年同期比10.7%増の2169億3200万円、セグメント利益は12.4%増の171億6800万円となった。月次情報によると、8月の既存店売上高が9.6%増、客数が2.7%増、客単価が6.7%増と客足も堅調だ。

   はま寿司は、ゼンショーホールディングスの「グローバルはま寿司」事業が27年3月期第1四半期に売上高32.2%増の935億1500万円、営業利益70.4%増の88億800万円と絶好調。月次情報によると、国内既存店の4~8月累計も売上高8.3%増、客数1.7%増、客単価6.5%増だ。

   各社で決算期は異なるが、くら寿司だけ利益を大きく落としている状況だ。

   違いは価格や商品にも表れている。はま寿司では、物価高の現在もサーモンやえび、軍艦など多くの商品を「一皿税込み110円」で販売し、9月には「厳選まぐろ中とろ」も期間限定で110円にした。スシローは7月、「厳選まぐろ赤身」を120円から150円へ引き上げるなど一部商品を値上げ。その一方で、「大切りサーモン」などのボリューミーなネタや期間限定商品などを投入し、満足感を高めている。

   安さで選ばれるはま寿司と、値上げしても満足感で「多少高くても行きたい」と思わせるスシロー。それぞれの強みが分かりやすい。

   くら寿司も9月4日から最低価格を110円に引き下げ、計37品目を110円とした。ただ、サーモンや生えびなど33品目は115円から120円に値上げしている。「安くなった」と感じにくく、かといってスシローのように商品価値を大きく押し出しているわけでもない。結果として「どっちつかず」になり、消費者へのアピールが弱まっている印象だ。

集客の武器「ビッくらポン!」で大誤算

   そこへ重なったのが「ちいかわ」コラボの中止だ。くら寿司にとってキャラクターコラボ企画は集客の大きな武器で、前年のちいかわコラボでも、オリジナルすし皿が「大変な人気」になったと月次資料で説明していた。

   今年は8月21日から9月30日までコラボを予定していたが、皿を5枚投入するとゲームに挑戦でき、当たればグッズがもらえる「ビッくらポン!」に入っている一部コラボ景品が「まったく出ない」とSNSで騒ぎに。その景品はフリマサイトに大量出品されていた。

   騒動を受けて同社が調査を進め、複数の報道によると、少なくとも1店舗で従業員による横領が判明。9月6日からキャンペーンは中止となった。これは大打撃だろう。

   「ビッくらポン!」は、くら寿司にとって他店との差別化を図る上でも重要なサービスだ。これを目当てに来店する家族連れは多い。人気作品とコラボすれば、そのファンも多く訪れる。「人気景品が従業員に抜かれていた」となれば、同サービスの信頼性に大きな傷がつき、今後の集客にも悪影響を与えかねない。

   現時点において、くら寿司はアジア事業が増収増益で、連結でも黒字を維持している。 しかし、はま寿司とスシローがそれぞれ客を呼ぶ理由を鮮明にして躍進する中、くら寿司は大幅減益で明らかに勢いを落としている。

   消費者に対して「くら寿司に行く理由」を改めて示す必要があり、価格や商品の戦略を立て直し、コラボを含めた店への信頼を取り戻すことが急務ではないか。それができなければ、遠くないうちに「回転ずし3強」から脱落し、「2強1弱」という構図になりかねないだろう。

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