中部電力の地震データ不正問題 「過剰な審査」「技術者の倫理喪失」と対立か、波紋広がる

   中部電力が2026年9月14日に公表した地震データ不正問題に関する調査報告書で波紋が広がっている。安全性をどこまで追求するべきなのかという根源的な問題を採り上げ、今回の問題を「不正」もしくは「改ざん」ととらえる考え方を否定したためだ。規制当局は首をかしげているが。

  • 浜岡原子力発電所
    浜岡原子力発電所
  • 原子力規制委員会・山中伸介委員長(加藤裕則撮影)
    原子力規制委員会・山中伸介委員長(加藤裕則撮影)
  • 浜岡原子力発電所
  • 原子力規制委員会・山中伸介委員長(加藤裕則撮影)

「安全に関する審査のあり方に、疑問や批判が書かれている」

   原発の安全性をチェックする政府の原子力規制委員会の山中伸介委員長の定例会見が17日、東京都内であった。記者の質問は中電の調査報告書に集中。とくに報告書のまとめにあたる「結語」の内容について、複数の記者から質問が出た。フリーランスの記者は「安全に関する審査のあり方に疑問や批判が書かれているが」と尋ね、業界紙の記者は「規制が過剰なものになるとか書かれているが」と、山中委員長の見解を求めた。

   結語には、「法制度上、当然のこと」と断りを入れながら、規制委員会の審査について「安全側に過剰なものになる可能性を秘める」「改めて第三者が検証するというような仕組みはない」とあった。また、地震データにも「地下奥深いところの出来事にかかわるもので簡単に答えられるものではない」と書いたり、事故のリスクをゼロに近づけるべきだという考え方について見解を示したりした。

山中委員長「明らかにねつ造でごまかし」

   これに対して、山中委員長は「調査報告書に引きずられることはない。『ノーリスク』など誤解もあるようだ」と答え、今回の問題について「技術者の倫理の喪失で、委員会の総意だ」と強調した。

   調査委員会は専門性の高い3人の弁護士で構成される。2026年1月に中電が立ち上げ、再発防止に向けた提言も含めて250ページの報告書を公表した。通常、第三者となる弁護士らでつくる調査委員会は報告書の公表と共に記者会見するケースが多い。10ページ前後の要約版も作られる。

   だが、今回は会見はなく、要約版も作られていなかった。調査委員会は中電を通じ「(本件の各行為に関して)改ざん、ねつ造、(地震動の)過小評価、データ不正といった言葉で単純化して、簡潔に表現することも妥当ではない」との理由を説明した。

   マスコミ各社は「改ざん問題」「不正問題」などと表記している。山中委員長は会見で「明らかにねつ造でごまかし。委員会の判断に変わりはない。調査委員会の考え、それはそれでけっこうだ」と述べた。

(経済ジャーナリスト 加藤裕則)

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