NTTドコモが約34万回線分の電話番号と料金プラン名を、本人の同意を得ずアマゾン・ドット・コム日本法人に提供していたことが、2026年9月16日、複数の報道で明らかになった。同年2月に同意事項を見直した際、人為的なミスでアマゾンへの情報提供に関する項目を削除したことが原因だという。アマゾン側は情報を利用せず、9月12日までに削除した携帯電話業界の「絶対王者」として長く君臨してきたドコモだが、近年は本業の通信で苦戦が目立ち、大手3社の中で「ひとり負け」状態にある。そこへ起きた今回の問題。通信品質への不満に加え、個人情報の扱い方が利用者の不信感につながれば、ブランドの立て直しにとって大きな逆風となりかねない。大手3社でドコモだけ「増収減益」25年度のドコモグループは営業収益6兆4581億円で前年度比3.9%増となった一方、営業利益は9421億円で7.7%減った。KDDIは売上高6兆719億円(4.1%増)、営業利益1兆991億円(1.1%増)、ソフトバンクは売上高7兆387億円(7.6%増)、営業利益1兆426億円(5.4%増)で、3社の中で減益となったのはドコモだけだ。NTTは26年2月、競争激化で顧客獲得などの費用が想定以上に膨らんだとして、ドコモの通期営業利益予想を830億円下方修正した。25年度は販促強化費用の増加が利益を1009億円、ネットワーク強靱化費用の増加などが206億円押し下げた。設備投資も8575億円で前年度から20%増えている。こうした苦境の背景にあるのが、コロナ禍が明けた23年ごろから目立つようになった通信品質の低下だ。当時の報道によると、ドコモは、データ通信量の増大や再開発による通信環境の変化、特定周波数の混雑などを原因として挙げている。さらに、コロナ禍後に人流が戻るタイミングについて、ドコモの担当者が「見立てが甘かった」と認めたことが伝えられた(ITメディア2023年8月5日付記事)。5Gエリア整備の遅れも響いた。ドコモは高速・大容量通信ができる5G専用の新しい周波数を重視してきたが、新たな基地局の整備には時間がかかる。都市部などで増えた通信量を十分にさばけず、対策が後手に回った。かつて「つながりにくい」というイメージを持たれていたのは、むしろソフトバンクだった。同社は12年の資料で「つながりにくさ」を課題としていた一方、ドコモは10年、11年の顧客満足度調査の「通信品質・エリア」で1位。この信頼感や安定感がドコモの最大の強みだった。ところが、近年は「つながりにくい」といえばドコモになってしまった。それを示す調査データも出ている。26年1~3月を対象にしたOpensignalの調査では、利用者のダウンロード速度はソフトバンクが65.1Mbpsで1位、次いでauが60.7Mbps、ドコモは55.7Mbpsで大手3社の中で最下位となった。通信の安定性を示す「一貫した品質」の項目では、auが首位、2位がソフトバンク、3位が楽天モバイル。ドコモは楽天にも及ばず4位となった。主力の無制限プランの料金もライバルと比べて若干高めだ。ドコモの「ドコモMAX」はデータ無制限時の割引前料金が月8448円。auの「auバリューリンクプラン」、ソフトバンクの「テイガク無制限」はともに8008円で、付帯サービスなどは異なるものの、基本料金はドコモが440円高い。通信品質の改善、社長は「道半ば」と認識顧客を囲い込むための「ドコモ経済圏」の柱となるd払いは、MMD研究所の26年7月調査によると、QR・バーコード決済利用者の30.8%が利用。1位のPayPay(66.0%)に大きく引き離され、楽天ペイ(35.3%)にも及ばず3位だった。これでは経済圏構築の決め手にはなりにくい。とにもかくにも、ドコモの信頼回復のためには通信品質の改善が重要だ。複数の報道によると、ドコモは26年4~6月期に1500局の5G基地局を構築し、26年度中に1万局規模の増設を計画しているという。それでも、前田義晃社長は26年8月の決算説明会で、通信品質の改善について「道半ば」と厳しい現状認識を明かした。まだまだ品質改善のための費用はかさむだろう。通信品質を立て直すための設備投資と、顧客をつなぎ留めるための販促強化費。その両方が利益を大きく圧迫する中、個人情報問題まで起きた。長く携帯業界のトップを走ってきたドコモは、「つながる」というかつての強みを取り戻し、消費者の信頼を回復することはできるのか。
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