ニデック「損失6321億円計上」社長は辞任、上場廃止危機 かつて「永守流」を絶賛したメディアは手のひら返し

圧力的な経営手法を「手本」として広めたメディア

   興味深いのは、現在は厳しく批判されている永守氏の経営手法が、かつては少なくないメディアで「成功モデル」として盛んに持ち上げられていたことだ。

   例えば、「日経BP」は17年に永守氏の"名言"を集めたビジネス書『日本電産 永守重信が社員に言い続けた仕事の勝ち方』を出版。「珠玉の100の言葉」から「普遍的な仕事術」を学ぶ本として売り出した。日経新聞も、永守氏を「カリスマ経営者」などと持ち上げ、経営手法を称賛するような記事を掲載していた。

   「ダイヤモンド・オンライン」は19年、「人・組織を鍛え抜く 日本電産『永守流』」と題する全10回の特集を掲載。買収先企業の意識を変革して「ミニ永守」を増殖させる人材育成術や、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」といった、部下への圧力を感じさせるような仕事の流儀を詳しく紹介していた。

   しかし、22年には「東洋経済オンライン」などが、社員の大量退職や極めて高い業績目標による強い圧力を問題視。そして現在、第三者委員会が会計不正の原因として認定したのは、まさに永守氏による「強すぎるプレッシャー」だった。

   メディアが持ち上げていた当時は、日本電産が成長を続けて数字を出していた。それだけに、永守氏の手腕を高く評価したこと自体は理解できる。だが、好業績の時期は「カリスマ経営者」「奇跡の人材育成法」などと絶賛していた手法を、不正発覚後には"元凶"として批判している手のひら返しには矛盾を感じなくもない。

   今回の一連の問題はニデックだけにとどまらず、数字だけを見て経営者を英雄化し、社員を間違った方向に進ませかねない圧力的な経営手法を「手本」として広めたメディア側にも、検証すべき点はあるのではないか。

   不正会計の処理、巨額赤字、社長交代、上場廃止の危機と混乱が続くニデック。今後は単に業績を回復させるだけでなく、「永守時代の企業体質」から完全に脱却し、失った市場の信頼を取り戻せるのかを問われることになる。

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