「床に荷物を置くのをやめました」
駅を出てから改めて荷物を確認すると、想像以上に広い範囲にコーヒーがかかっていたという。
「そのときになって、受け取った金額についても考えるようになりました。バッグとコートの状態を見たら、3000円では足りないんじゃないかと思ったんです」
幸い、この日は家族が車で迎えに来てくれる予定だった。そのため、濡れたコートを着たまま長時間移動する必要はなかった。
「コートを着ずに帰れたのはよかったですが――」
その場では相手から謝罪を受け、現金を受け取ったものの、後から考えると「もう少し慎重に対応すればよかった」という思いが残った。
「コートを着る季節になると、あの日のことが頭に浮かびます。新幹線に乗ったときも、ふと思い出すことがあります」
それ以来、松本さんは公共交通機関などで荷物を床に置くことに、ためらいを感じるようになったそうだ。
「電車や新幹線だけでなく、バスや映画館でも、床に荷物を置くのをやめました」
新幹線の車内で突然起きたトラブル。相手に悪意がなくても、飲み物をこぼせば周囲の乗客の持ち物を汚してしまう可能性がある。飲み物の取り扱いには、十分な配慮が求められるだろう。