「日常は音楽と共に」  シャーロック・ホームズもファンだったサラサーテ 故郷を描いた「バスク奇想曲」

バスク風の旋律に超絶技巧も織り込まれた小品

    周りの作曲家から、数多くの素晴らしい作品を献呈されてはいましたが、ホームズも聴いたはずのサラサーテの演奏会は、彼自身の作品が多くプログラミングされるのが常でした。

    現在のサラサーテの作品は、スペインでヒターノと呼ばれるロマの人たちの音楽を入れた「ツィゴイネルワイゼン」と、主人公ドン・ホセがバスク人という設定のフランスの作曲家ビゼーのオペラ、「カルメン」の旋律をちりばめた「カルメン幻想曲」の2曲が飛びぬけて有名で、演奏回数も多くなっています。

   しかし、彼のルーツである、「バスク」を題材にした「バスク奇想曲」は、バスク独特の「ソルツィーコ」と呼ばれるダンスの独特のリズムを取り入れたり、バスク風の旋律をちりばめたりしてあり、彼のルーツである謎の国「バスク」を音楽で味わうことのできる1曲に仕上がっています。5分ほどの長くない曲ですが、サラサーテの超絶技巧も織り込まれ、聞いていて楽しい小品です。サラサーテは有名曲以外にも、たくさん味のあるヴァイオリン曲を残しました。

    彼が没したのは世紀も変わった1908年、フランス側のバスクの町、ビアリッツにおいてでした。

本田聖嗣


本田聖嗣プロフィール

私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミ エ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソ ロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを 務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。


   出典元:週刊「日常は音楽と共に」https://www.j-cast.com/trend/column/nichijou/

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