タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」71歳・泉谷しげる、
全身創痍の 「全力6時間ライブ」語る

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「スキル 栄光か破滅か!」(泉谷しげるさんの事務所提供、以下同)

   実を言うと、これから触れようとしているライブは見ていない。毎年、足を運んでいるBEGINの「うたの日」の取材が入っていて沖縄に行っていた。その時の模様は以前この欄でも紹介したとおりだ。

   でも、自分が見たかどうかに関わらず伝えることに意味があるライブも少なくない。この日はそういう日でもあるのだと思う。

   2019年6月30日、泉谷しげるは渋谷のライブハウス「duo MUSIC EXCHANGE」で「全力6時間ライブ」を行った。13時から20時半。休憩時間を含まない実質6時間15分。1971年にデビューしたエレックレコードから歴代5社にまたがるレコード会社の作品と新作アルバム「スキル 栄光か破滅か!」の曲までの61曲で48年間に渡るヒストリーを辿ってみせた。

    1948年生まれ。今年71才。それがどれだけ過酷なことかは容易に想像がつく。

    彼に話を聞いたのは、ライブの三日後だった。

70には見えません、とは言われたい

   「身体、痛いですよ(笑)。ようやく起きられるようになった。やってる時にもこれはもう本当に駄目だな、歌えないなと思う時も何度かあったからね。後半の『翼なき野郎ども』から『風もないのに』あたりは死ぬかと思いました。でも、苦しい時ほど余裕のある顔を見せろ、みたいなね。そうすると直るんですね。気の持ちようというのはよく言ったもんです」

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70代の熱演

   ライブは三部構成、「翼なき野郎ども」は三部の10曲目。通算48曲目。「風もないのに」は55曲目。マラソンでいえば最後の坂、胸突き八丁という感じだっただろう。

    「さすがにきつくてちょっと休んで、ニコニコしてお前らも休め、休めば出来るんだとちょっと客をいじってね(笑)。そうすると苦しくないんですよ。身体は苦しいんだけど、精神が苦しくない。集中しなきゃいけない、じゃなくて集中しなきゃいいんだよ、という余裕感が出る。余裕ですよ。自分が一番欲しかったものが手に入りましたね。悲壮感、全然ない(笑)。テレビが撮っててくれたんだけど、悩んでたり苦しそうにしてるシーンとか全くないから、使えないんじゃない(笑)」

   新作アルバム「栄光か破滅か!」は、5月11日、71才の誕生日に発売になった。

   「制作に三か月かけたけどレコーディングは三日」という全9曲。言葉を放り投げるような小節の効いたボブ・ディランを思わせる歌い方を基本にスイング・ジャズやレゲエも織り込んだ「泉谷節」は健在だ。SF的なイラストレーションやアートを言葉にしたような時代観は彼流の黙示録に聞こえる。

   「ロックンロールでございます。フォークでございます、ということで音楽はやってきてないですから。色んな音楽が好きだったわけで、そういう音楽に敬意をこめてますね。見栄かもしれないけど、新しいものを作るということにはこだわりたい。70だからというのはないですね。70には見えませんね、ということだけは言われたい(笑)。今までの日本人のあり方で、一番よくないのは、『年甲斐もなく』という言葉ですよ。じいさんばあさんになっても若い恰好すればいいじゃん。潜在的には今でもそういう年寄りとの戦いかもしれない。実は年寄りって新しいもの好きなんですよ。スマホだってパソコンだっていじれるじゃん。俺なんてまだガラケーだぜ(笑)」

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