「日常は音楽と共に」突如英国王となったジョージ6世 ウォルトンが捧げた「戴冠式行進曲 王冠」

   今年は西暦では2019年ですが、日本においては元号が変わったため、平成31年であり令和元年として記録される年になりました。私は昭和から平成へ変わった瞬間も体験していますが、今回の新天皇の即位は、生前譲位という形をとったために、祝賀ムードにあふれていたのが印象的でした。また、伝統にのっとった皇室の数々の行事も、改めて注目を集めました。海外からもたくさんの元首や王族の方たちが、それらの行事に参加していました。

   今週取り上げる曲は、英国のウォルトンが作曲した「王冠」という曲です。

   正式名称は「戴冠式行進曲 王冠」で、英国の新しい君主が即位する、その式典での演奏を想定して書かれた曲になります。

作曲者ウォルトンの写真
作曲者ウォルトンの写真
ジョージ6世と娘、現在のエリザベス2世女王の肖像
ジョージ6世と娘、現在のエリザベス2世女王の肖像
兄の退位のため急遽「英国王」となったジョージ6世
兄の退位のため急遽「英国王」となったジョージ6世

吃音を克服、映画化もされた王

   ウォルトンは1902年の生まれ、オックスフォード大学で学びますが、作曲は驚くべきことにほぼ独学でした。現代音楽のフェスティバルで作品が評価され、世に出たウォルトンは、20世紀の作曲家らしく、数多くの映画音楽なども手掛け、幅広いジャンルの音楽を残します。最終的には、ブリテンやヴォーン=ウィリアムズとともに20世紀英国を代表する作曲家として名を残したのです。

   「戴冠式行進曲 王冠」は、ウォルトンが35歳のときの作品で、1937年5月12日の戴冠式のときに初演される、ということがあらかじめ決まっていました。しかし、なんと、その「王」が変わってしまったのです。もともとはエドワード8世の戴冠式だったのですが、有名な「王冠をかけた恋」のために彼は王をすぐに退位してしまい、「帝王教育を受けてこなかった」とあわてていた弟のジョージ6世が急遽英国王になることになったのです。

   「即位するはずではなかった」ジョージ6世は、王となり、相対的に地位の低下してゆく大英帝国とともに、第二次世界大戦とその後の困難な時代を生き抜くことになります。どちらかというと内気で、人前でのスピーチも吃音のため苦手だった彼ですが、それも克服し、第二次大戦時に国民に呼びかけた感動的なスピーチは、「英国王のスピーチ」として映画にもなりました。

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