会社の喜怒哀楽ストーリー「社史」をバカにしてはいけない

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   会社を経営していれば、いつかは「創業○周年」という年になる。これを「単なる通過点。取り立てて騒ぐことはない」とする見方もあるが、会社の歴史を振り返り、創業の理念を確かめて将来に継承するのに絶好の機会でもある。「節目」という言葉もある。柄にもないなどと思わずに、真剣に「周年行事」を検討する価値はあるものだ。

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先人たちの体験と理念を継承する「社史」を作ろう

   かつて「社史編纂」という言葉には、何か閑職的な響きを感じたものだが、歳を重ねて、それがとんでもない思い違いだったことに気づいた。会社の喜怒哀楽のストーリーを残すことの価値、記録することの価値、記録することの意義を悟ったからだ。

   企業戦略、事業戦略の推進を支援するコンサルタントの立場から言えば、従業員が社史を深く味わい、成長期や低迷期のエピソードを追体験することは、理念の継承や浸透のためにもっとも合理的な方法である。

   「顧客第一主義」といった言葉の上っ面をなぞるだけでは、理念や行動指針は見えてこない。後進たちに会社の理念や大切にしてきた考え方を遺したいなら、言葉の根っ子にある先人たちや自分たちの体験、喜怒哀楽のストーリーが必要なのだ。

   社史編纂の意義は、ここにある。であれば30年史、50年史といった大台を待つ必要などまったくない。ベンチャーであれば10年史といわず、3年史、5年史というピッチで周年行事として社史を作ることを検討してもよいと思う。

周年パーティは「社員向け演説原稿」に注力する

   同じ理由で、周年行事も積極的に活用すべきだ。周年行事にはパーティが欠かせないが、忘れてならないのは「コンセプトの明確化」である。少なくとも「誰のために開催するのか」「目的は何か」の2点を明確にしておく必要がある。

   社員を対象に「経営メッセージの浸透」を目的としたパーティなのに、社長のあいさつもそこそこに「マグロの解体ショー」で盛り上がるのは考え物だ。これまでのねぎらいの言葉にあわせて、会社が大切にしてきた考え方を浸透させる「社長のプレゼンテーション」が中心になる。オバマ大統領のように、演説原稿を練って臨んでもらおう。

   プレゼンには、過去の入社式の映像や、最初の入社案内の画像などを入れると、新しく入ってきた人たちにも歴史を追体験してもらえる。少し遊びが欲しければ、創業以来のエピソードをクイズ形式にして、勝ち抜きゲームにすることも考えられる。正解発表時には、それを実体験した社員にコメントしてもらうと臨場感が出る。

   「顧客や株主、取引先へ感謝を伝える」ためのパーティも考えられるが、社員向けのイベントとは別に設けた方がよい。「顧客第一」だからといって、社員向けイベントをおろそかにしてはいけない。会社の理念を浸透させ、社員同士の絆を太くし、血を通わせることが、職場を活性化させ、仕事の質を大きく左右することになるからである。

大塚 寿

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大塚寿(おおつか・ひさし)
1962年群馬県生まれ。中央大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。ヤマメの養殖で留学資金をつくり、1991年5月より渡米、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)にてMBA(国際経営学修士号)を取得。現在、マーケティング・コンサルティングやオーダーメイド企業研修を行うエマメイコーポレーション代表取締役。『職場活性化の「すごい!」手法』(PHPビジネス新書)など、著書多数。
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