2024年 4月 20日 (土)

「会社のせいでウツになった!」というクレームが怖い

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臨床心理士・尾崎健一の視点
「クレームがきてもただちに恐れる必要はない」

   精神疾患による労災を認定するときに基準として用られる「職場における心理的負荷評価表」の一般的な解釈に絞って回答しますと、単に「研修・会議等の参加を強要された」だけでは、労災の原因とは認められないと思われます。

   評価表によれば、心理的負荷の強度は3段階に分けられており、「研修・会議等」は比較的低い「強度1」です。つまり、心理的負荷になるおそれは認められるものの、その他の要素との組み合わせや、それがどの程度持続しているかによって、強い心理的な負担となる要素のひとつとして認められうると理解しておくべきです。

   評価表を逆手にとって、通常の業務命令に対して「私は研修を受けたくありません! 参加を強要してウツになったら責任を取ってくれるんですか?」などとクレームを入れるような社員が現れても、ただちに恐れる必要はありません。正当な理由もなく研修や会議の参加を拒むことは、業務命令違反になりえます。

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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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