社用車を2年ごとに買い替える「節税方法」は有効なのか?

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   高級乗用車を毎年のように買い換える社長を見て、「すごいなあ」と羨望のまなざしで見ている人も多いだろう。しかし、それが「本業の儲け」から出されているのではなく、「節税のための借り入れ」で賄われているとしたら、見る目もだいぶ変わってくる。税理士の奥村佳史氏は、このような節税策を採ることに消極的だ。

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「乗用車購入のための資金」は銀行が貸してくれるけど

奥村佳史著『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』
奥村佳史著『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』

   ――中小企業の社長さんの中には、節税対策と称して、乗用車を2年ごとに買い換える人が時々います。乗用車の減価償却費が損金で落ちるため、節税に有効だというのです。

   果たしてこれは本当でしょうか?

   結論を言えば、半分正解で、半分不正解です。

   通常の社用車は「自動車(二輪又は三輪自動車を除く。)」の「その他のもの」のうち「その他のもの」に該当しますので、耐用年数は6年です。

   定率法による場合の耐用年数6年の償却率は、0.417と定められています。

   例えば、500万円の乗用車を購入した場合、初年度は208万円の減価償却費を損金に算入できます。税率を40%とすると、83万円の節税効果が見込まれます。

   ですので、減価償却による節税効果は確かに認められます。

   ただし、よく考えて見ますと、500万円ものお金を遣って、208万円しか損金が増えていないのです。慰安旅行の例ですと、遣ったお金と同額の損金が増加しています。効率を考えれば、減価償却費を無理に計上することによる節税は、効率が悪いのです。

   それでも減価償却費の計上による節税プランが昔から愛用されてきたことには理由があります。

   それは、慰安旅行に出掛けるための資金を銀行は貸してくれないけれど、乗用車購入のための資金はローンで借りられるという点です。ですから、節税対策用の資金を借りられるという点で、減価償却費計上による節税対策は実行しやすいのです。さらに、乗用車であれば、2年後に売却すれば、購入時より安いとはいえ、お金が戻ってきます。ですから、結果的には慰安旅行と同程度の節税効果が得られることになるでしょう――

奥村佳史著『法人税が分かれば、会社のお金のすべてが分かる』光文社新書、146~147頁)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)

著者が上記のような説明をしても、多くの社長は納得しない。要するに節税は名目であって、欲しい車があるから「背中を押して欲しいだけ」らしいのだ。そんなことは、会社の金庫を預かる役員が許すわけがない。だから著者は、社長から相談されても「経理担当の専務が口をきいてくれなくなると困るので」勧めることはしない。つまり「社長、社用車はあきらめましょう」というのが結論なのだ。


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