「手書きの履歴書」就職に有利は本当か

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   大学3年生の就職活動が本格化し、各企業へのエントリーが進んでいる。そんな中で「手書きの履歴書を要求する会社はナンセンス」という意見がネット上で話題になっている。しかし実際には、中小企業を中心に「手書き履歴書」を根強く支持する層がいるようだ。

字のていねいさが採用の材料に

「新卒の就職活動では、履歴書が未だに手書きのほうがデフォルトと聞いて、結構、ショック・・・。そんな理由で落とすような会社、就職しなくていいんじゃない?」

   2010年2月23日、ライブドア執行役員の田端信太郎氏がツイッター上でこうつぶやくと、

「海外でやったら頭おかしいんじゃないかと思われそう」
「『こいつコンピューターも使えないのか』と思っちゃうな。すごく印象悪い」

と同調する声が相次いだ。J-CASTニュースでも09年8月に、「転職時の『履歴書』はPCで 『見やすさ』『内容』が重要」という記事を公開している。

   しかし実態は、意外にも「手書きの履歴書」は多く残っているようなのだ。札幌市で事務所を開く社会保険労務士の田北百樹子氏によれば、顧問先の多くの会社が手書きを推奨しているという。提出される書類も市販のフォーマットを使ったものがほとんどで、パソコンで作られたものの割合は低い。

「中小・零細企業では、経営者自身がすべての書類をチェックし、面接にも出席します。手書きじゃないと採用しないという会社は知りませんが、限られた時間のなかで求職者の人となりを見極めるために、手書きの文字も重要な情報になっているのです」

   果たして、文字で人を見ることができるのだろうか。

「一例ですが、会計事務所では、小さくて分かりやすい字を書く人が歓迎されます。書類を修正するときにきれいに書き込めるという業務上の必要性もありますし、仕事を正確にこなせる緻密な性格だとも受け取られます」

   また、小さな会社では、協調性や規律性などが重視されるが、その中で字のていねいさも一つの材料となるようだ。「一緒に働けそうな人かどうか、感覚的に見るのでしょうね。お見合いのときに、収入や肩書きだけでなく、食べ方や箸の持ち方を見るのと同じですかね」

「いまどき手書き」は中小企業にウケる

   このような会社は、地方都市にだけあるわけではない。ヴィベアータ代表の新田龍氏によると、東京の中堅企業の中にも、手書きの文字には人柄が表れるという考えの下、「履歴書はあえて手書きで」と条件をつける会社が実際にあるという。

「論理を超えた信念みたいなものでしょうね。私個人は体裁よりも中身だと思いますが、よりよい人材を採りたいと考える経営者の強い思いは理解できます」

   条件となっているということは、手書き以外は採用されないということだろう。社会保険労務士の野崎大輔氏の顧問先は「どちらでもよい」という会社が多いが、市販のフォーマットを使う弊害もあるという。

「いまは採用エントリーする会社が百社単位になっていますから、手書きするエネルギーは他に振り向けるべきですよ。それに、市販の履歴書には最低限のことしか書く欄がない。アピールしたいことをうまくまとめるためにも、オリジナルの形式で作り、コピーして使って問題ないでしょう」

   この点について、田北氏も「履歴書は手書きにして、職務経歴書は別にパソコンで作ってもよいのでは」と指摘し、実際にそのような作り方をしている人も多いようだ。野崎氏は逆に「履歴書はパソコンにして、詳しい志望動機などを別紙でつけるときに、あえて手書きにすると手紙のようになるかもしれませんよ」と違った視点を提供してくれた。

   大企業では業務処理の都合上、デジタルデータしか受け付けられない。しかし中小企業を受けるときには、相手に合わせた戦略がありうる。もしかすると「いまどき履歴書が手書きなんて古すぎる!」という固定観念を破ったアプローチをしてみた方が、ユニークな人材と思われるかもしれない。

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