仕事中にケータイいじる人が急増中です

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   地下鉄のホームで電車を待っている人たちが、みんなケータイをいじっている風景は、いつの間にか当たり前になった。サービスも多様になり、つねにつながっていないと済まない人は増えているようだ。

>>ヨソでは言えない社内トラブル・記事一覧

以前勤めていた会社では信じられない光景

――企画会社の総務担当です。最近、パソコンの隣に携帯電話やスマートフォンを置いて、たびたびいじっている社員が目立つようになりました。メールが多いようなのですが、中にはSNSで日記を書いたり、オークションの入札をしたりする人もいるようです。
   会ったこともない異性とアバター(自分の分身であるキャラクター)を介して擬似恋愛にはまり、1日に何十回もメッセージを送っている人もいました。特に顧客担当の女性たちは、受注減で仕事がヒマになったこともあって、夢中になる人が目立ちます。上司が何をやっているのか声をかけても、
「ちゃんと仕事してるんだから、いいじゃないですか」
「子どもの学校から連絡がしょっちゅうくるんですよ」
などと、かわされてしまっているようです。携帯電話に意識がいけば仕事の注意力が散漫になり、ミスの原因になりえます。お互いが注意しあう職場の風土があれば楽なのですが、他人に干渉しないことをよしとする風潮が社内にも侵食しています。
   私が以前勤めていたメーカーでは、信じられない光景です。中学校みたいですが、いっそ「私用電話は一切禁止」「私物の携帯電話はカバンの中にしまうこと」というルールを作って守らせようとも考えているのですが、いかがでしょうか――

臨床心理士 尾崎健一の視点
会社の方向性に合致するなら問題ないのでは

   極論すれば、今回のような「無法地帯」の職場もありうる時代になったのではないかと思います。人件費の安い新興国が力をつけてきて、日本企業の課題は変わりました。ただ手を動かしたり、時間通りに会社に来ているだけでは、生産性が高いとは認められず、単にお行儀よくしていることの生産性の低さが問題になっています。仕事中に「何がどこまで許されるか」は、いまや業界や職種によって完全に異なると言ってよいでしょう。それを他の会社が「おかしい」「こうすべきだ」と言ってもしようがないのでは。

   その代わり、会社の戦略や課題を踏まえて、それぞれの職場のリーダーが職場ごとに「重視する価値観」を選択し徹底させることが重要です。人の流動性も高まっていますので、いちいちメンバーに対して「これがうちの職場の常識だ」と説明する工夫も必要でしょう。メンバーも職場の価値観や常識を理解し、従うことが求められます。

社会保険労務士 野崎大輔の視点
きちんと注意できない管理職は失格

   私用電話や私用メールは、社会生活を営む上で必要かつ最低限度のものは許されるという判例があります。オークションやSNSは原則禁止とすべきでしょうが、子どもや学校から電話連絡がある人もいます。必要性を無視して携帯電話の持込みを禁止したりすると、隠れて使う人が出てきます。新しいルールを作るときには、メンバーへの事前のヒアリングがあってもよいと思います。

   しかし労働者には職務専念義務があり、業務と関係のない言動は原則控えるべきです。普通は遊んでいる暇があれば、別の仕事をしてもらうか、早めに上がってもらうことになります。就業規則に禁止行為を定めることもできますが、結局はイタチゴッコになりがちです。服務規律に「誠実に職務を遂行」と定めておき、管理職が「仕事中はやめなさい」と言えばすむ話でしょう。部下にきちんと注意できない管理職は、その職責を果たすことができません。

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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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