2024年 3月 19日 (火)

世界一「自分は幸せだ」と思っているデンマーク人に学ぼう

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   所得の7割以上を税や社会保険に取られ、企業の人員が余剰になると即座に解雇されるのに、「自分は幸せだ」と思う人の比率が世界一のデンマーク。一方、「自力で生活できない人を国が助けてあげる必要はない」と思う人の割合と、貧困による自殺者数が世界一の日本。何がそんなに違うのか。経営コンサルタントの波頭亮氏は、日本も企業の自由度を高めるべきだと主張する。

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競争力を損なってまで雇用を守ってもメリットはない

波頭亮著『成熟日本への進路―「成長論」から「分配論」へ』
波頭亮著『成熟日本への進路―「成長論」から「分配論」へ』

――勝つための企業経営の要諦は、迅速かつ的確な市場への対応にある。・・・(日本経済がデンマークを)まずは何よりも参考にしなければならないのは、経済の活力を高めるために企業の自由度を最大限に高めることである。
   特に雇用・解雇の自由度の大きさは、企業が市場環境に合わせて最適化するための条件として極めて重要なポイントである。
   日本経済が02年~06年に久しぶりの回復を見せたのは、様々な規制緩和の実行が施されたためであるが、その一環として派遣社員制度が拡大されて企業が多様な雇用形態を選択することが可能になり、柔軟な人員体制をとれるようになったことも一つの大きな要因である。
   その後のリーマンショックによる景気の落ち込みで大量の派遣社員が解雇や契約の打ち切りをされたが、これを受けて現在派遣法の厳格化が進んでいる。が、この対応方針は正しくない。そもそも私企業に過剰な雇用を強制することは、資本主義的ルールから逸脱している。労働者や失業者の生活を守ることは公的な責任であり、政府の仕事である。
   また企業に対して雇用・解雇の自由を制約したり、多様な雇用形態を認めないのも、柔軟な経営体制を阻害するもので、日本経済全体に対して与える影響としては、この弊害の方が就労者の身分の安定というメリットよりも明らかに大きい。
   就労者の身分と所得を頑なに守ろうとして破綻したJALはその典型である。20年以上も前から公的資金を何千億円単位で飲み込んで来ながら結局破綻してしまったのは、硬直的な雇用と処遇に手をつけられなかったためである――

(波頭亮著『成熟日本への進路』ちくま新書、159~161頁より)


(会社ウォッチ編集部のひとこと)

波頭氏は、デンマークは「高福祉なのに自由経済」ではなく「高福祉だからこそ自由経済」と理解すべきだという。確かに、セーフティネットがあるから労働者は解雇に応じ、企業は市場経済に勝って社会保障の原資をまかなう利益を上げられるともいえる。しかし日本がもしそのようなモデルへの移行を目指すとき、完璧なセーフティネットを待って流動化を凍結すれば、手遅れになるだろう。流動化が好循環につながるまでのタイムラグもある。どのタイミングでリスクを冒し規制緩和を受け入れるのか、国民が決断を迫られる時期が来るのではないだろうか。

成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)
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