産業医に「メンタルヘルス専門家」置く企業

   日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所は2010年8月6日、「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果を発表した。それによると、精神医学関連の産業医が「いる」と答えた企業は、上場企業の36.3%にまで増えているという。

知識のない産業医の無責任発言に怒り

心の健康に問題を抱えた従業員の増減予想(出典:生産性本部)
心の健康に問題を抱えた従業員の増減予想(出典:生産性本部)

   精神科、心療内科など、メンタルヘルスの専門家が産業医についている企業は、2002年の19.9%から約16ポイント増加。3社に1社にまで増えている。

   また、メンタルヘルス関係の相談室などを社内に設けている上場企業は、約7割。2002年の54.6%から約15ポイント増加しており、この8年間でメンタル面の不調を訴える人に対応する体制づくりは進んでいるようだ。

   J-CAST会社ウォッチには2009年7月、現役の精神科医と名乗る人からコメントが寄せられていた。メンタルヘルスの専門知識のない産業医が、従業員に対し「薬、多すぎるんじゃないの?」「違う医者を試してみたら?」と無責任な発言をすることへの問題提起だ。

「精神科の知識もないままに、また精神科医の地道な努力も理解せずに、こういう切って捨てるような発言をして患者さんを惑わせるのはやめてほしい、と怒り心頭です。患者さんにそういう発言をするなら、そのまえに主治医の許可をとるべきでしょう」

   メンタルヘルスに詳しい産業医が増え、主治医との適切な連携が行われることで、このような混乱が少なくなりそうだ。

   ただし、心の問題の発生自体を減らすことは、医師だけでできるものではない。心の健康に問題を抱えた従業員が「今後減る」と答えた企業は、わずか3.6%。8年前と変わらない低水準だ。

   「増加する」とみる企業は42.2%で、依然として最大層だ。前回調査(2008年)の49.1%からは微減。「ほぼ横ばい」は29.7%から37.1%へ増加している。

   過重労働やパワハラ、職場いじめなどに対する根本的な対策を講じて、「今後減る」と答える企業が増えて欲しい。

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