「わかっちゃいるけどやめられない」から抜け出す方法

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   猛暑の仕事帰り、立ち寄って飲む一杯がたまらない! あれ? 俺、昨日も飲んだよな。しかも医者からは酒を止められているんだっけ・・・、まあいっか!

   よくないことはわかっているけど、どうしてもやめられない!という習慣がある方も多いでしょう。今回はそんな「わかっちゃいるけどやめられない」から抜け出す秘訣についてお話しします。

快楽を伴う「よくない習慣」

快楽を求めて延々と押し続ける
快楽を求めて延々と押し続ける

   よくない習慣には、色々なものがあります。「体によくない」タバコやお酒、食べ過ぎなど。「サイフによくない」ギャンブル、衝動買い、などなど…。

   よくない習慣は「快楽」を伴います。快楽は、脳内の「報酬系」という神経の経路が活性化することによって生まれることがわかっています。

   私たちが生きる上で感じる欲求には、食欲や性欲といった生存に不可欠な原始的なものから、知識を満足させたい、他者から認められたいといった高度で社会的なものまで様々なものがあります。

   その欲求を満たしたとき、あるいは満たすことが期待できるようなとき、報酬系が活性化され、我々は快楽を感じるのです。その結果、その行動が「よいもの」であると認識するようになり、再度、同じ感覚を求めて同じ行動をするよう「学習」していきます。

   脳内に電極を埋め込み、レバーを押すと電気刺激が起こるしかけの動物実験では、電極を脳内の報酬系を活性化させるような部位に置くと、動物は延々とレバーを押し続けるようになるそうです。

   このとき、動物は快楽を求め、いわば「レバー押し依存」の状態になっているのです。そしてこの状態が、人間でいうところの

「わかっちゃいるけどやめられない」

状態に大変よく似ています。頭では健康面や金銭面で悪い影響を及ぼすことがわかっているのに、快楽をもとめてつい、その行動を繰り返してしまうのです。

「自分にご褒美」から始めてみる

   それでは、その状態から抜け出すためにはどうしたらよいでしょうか。先ほどの「報酬系」を逆手にとってみましょう。

   まずは、よくない習慣から抜け出すための「目標」を設定します。始めは手近で実現できそうなものがよいでしょう。そしてそれを達成したら、自分にご褒美を与えるようにするのです。例えば、

「1か月間、休肝日を守れたら新しい自転車を買おう」
「2キロ減量に成功したら、気になっていたあの洋服を買いに行こう」

といった具合です。

   ただし、このような「外発的動機」による行動は、きっかけとしてはよいのですが、長続きしないことも多いです。目標を常に達成できるとも限りませんし、慣れによって報酬もより大きいものが必要となってきます。報酬が途絶えた時、行動も挫折しやすいのです。

   そこで重要となってくるのが「内発的動機」です。これは何かのために行動を起こすのではなく、行動それ自体を目標とする動機で、

「カミさんに怒られて嫌々ウォーキングを始めたが、最近は体調もよく、体重も落ちてきて楽しい」

という具合です。

   その行動自体のもつ楽しみやよい影響に気づくことができれば、内発的動機が生まれ、行動を継続させやすくなります。

   あなたの周りでも、「サッカー大好き人間」や「ゴルフ愛好家」など、あなたには興味のないことでも夢中になれるような楽しみをもっている人がいるでしょう。内発的動機は、何事にも興味をもち、その楽しみを見出すところから生まれてきます。

   目標を設定し、それを達成したら自分にご褒美を与えること。そして、その行動自体がもたらす楽しみを見出しながら、目標を再設定し、繰り返し継続すること。もし何かやめられないこと、長続きしないことがあったら、試してみてください。


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今回の筆者:大井 雄一(おおい・ゆういち) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。日本医師会認定産業医。労働者のメンタルヘルスと生活習慣を主な研究テーマとする。日本原子力研究開発機構(JAEA)などの産業医として労働者の健康管理に携わっている。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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