労務行政研究所は2010年8月31日、「企業のメンタルヘルス対策に関する実態調査」の結果を発表した。上場・非上場企業252社が回答。それによると、メンタル疾患での休職から職場復帰できた人の割合は、企業規模が大きいほど高くなることがわかった。
大企業では3年間休職できるところも
回答者のうち、過去にうつ病などのメンタルヘルス不調で休職した社員がいた会社は、全体の92.7%。9割を超す会社で、メンタル疾患による休職者が発生していることになる。
休職者が過去にいた会社に、完全に職場復帰できた人の割合を尋ねたところ、「全員復職できた」「ほとんど(9割以上)復職できた」と答えた会社は28.2%。半数以上が復帰できた会社を合計すると、4社中3社(75.3%)となった。
一方、休職者が「全員復職できなかった」「復職できたのは1割台」と答えた会社は15.0%。従業員規模別に見ると、1000人以上の会社では2.7%だが、300人未満の会社では22.5%にも上っており、大きな格差が表れている。
メンタルヘルスの企業コンサルティングを行う尾崎健一氏によると、企業間格差がもっとも大きいのは「休職制度」の違いではないかという。
「大企業の場合、傷病手当金の受給上限である1年半に加え、独自の制度としてさらに半年から1年半程度休める会社も少なくありません。休職制度のほかに、有給での病気欠勤が3カ月程度可能な会社もあります。一方、中小企業の中には会社の休職制度がなく、傷病手当金を受け取る手続きを自分でしなければならないところもあります」
中小企業は大企業に比べ「休職期間」の設定が短く、期間満了まで目一杯使っても完治に至らず退職に追い込まれるケースが多いことが、復職成功者の少なさにつながっているのではないかというのだ。