「うつ病予備軍」を入社前に見分けることはできないか
2010/10/ 8 11:15
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メンタルヘルス不全の休職者数は、一時のような急増傾向が弱まったものの、まだまだ少なくないらしい。ある会社では、期待の新人が入社半年で「抑うつ状態」と診断されて、採用担当者にクレームが入ったという。
「来年はメンタル重視」と言われても
――中堅専門商社の採用担当です。先日、営業課長から部下のBさんのことでクレームを受けました。Bさんは今年の春に採用した女性で、高学歴で容姿端麗、そつのない受け答えで面接を通過し、社長も即OKを出した新人です。
試用期間を終え、先輩との営業同行もこなしてきたので、この秋からお客さまを数社担当してもらおうという段になって、課長はBさんから「もう少し待っていただけますか」と言われたのだそうです。
詳しく話を聞くと、この夏の猛暑で心身ともにダルイと感じたBさんは、病院に行ったところメンタル専門医を紹介され、「抑うつ状態のおそれがある」と診断されたとのこと。要するに「うつ病の一歩手前」で、「休職するほどではないが、無理をせずに様子を見るように」と言われたのだそうです。
課長は、「困るんだよなあ。これから働いてもらおうというときに」「ムリに頑張れって言っちゃいけないんだろ?」と苦りきった顔でいいます。配属を決めたときには「いい人材をありがとう!」と握手して喜んでくれたのに・・・。
念のため、採用時の履歴書を見たところ、健康状態の欄には「良好」とありましたし、既往症の欄にも「なし」と書かれていました。そういう人でも、仕事をしているうちに健康状態を崩すこともあるでしょう。
営業から突き上げをくらった人事部長は、やれやれといった表情で、
「来年の採用は『うつ病予備軍』は入れないこと。メンタル重視で行こうな」と軽く言いますが、具体的に何ができるのでしょうか。
入社希望者をこれ以上フィルタリングするためには「ストレス診断」のようなテストをさせて、うつ病予備軍を調べる方法もあるかもしれませんが、本当に抑うつ状態になる人をなくせるのか、テスト結果をもって求職者を排除できるのか不安もあります――