2019年 12月 6日 (金)

「うつ病予備軍」を入社前に見分けることはできないか

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   メンタルヘルス不全の休職者数は、一時のような急増傾向が弱まったものの、まだまだ少なくないらしい。ある会社では、期待の新人が入社半年で「抑うつ状態」と診断されて、採用担当者にクレームが入ったという。

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「来年はメンタル重視」と言われても

――中堅専門商社の採用担当です。先日、営業課長から部下のBさんのことでクレームを受けました。Bさんは今年の春に採用した女性で、高学歴で容姿端麗、そつのない受け答えで面接を通過し、社長も即OKを出した新人です。
   試用期間を終え、先輩との営業同行もこなしてきたので、この秋からお客さまを数社担当してもらおうという段になって、課長はBさんから「もう少し待っていただけますか」と言われたのだそうです。
   詳しく話を聞くと、この夏の猛暑で心身ともにダルイと感じたBさんは、病院に行ったところメンタル専門医を紹介され、「抑うつ状態のおそれがある」と診断されたとのこと。要するに「うつ病の一歩手前」で、「休職するほどではないが、無理をせずに様子を見るように」と言われたのだそうです。
   課長は、「困るんだよなあ。これから働いてもらおうというときに」「ムリに頑張れって言っちゃいけないんだろ?」と苦りきった顔でいいます。配属を決めたときには「いい人材をありがとう!」と握手して喜んでくれたのに・・・。
   念のため、採用時の履歴書を見たところ、健康状態の欄には「良好」とありましたし、既往症の欄にも「なし」と書かれていました。そういう人でも、仕事をしているうちに健康状態を崩すこともあるでしょう。
   営業から突き上げをくらった人事部長は、やれやれといった表情で、

「来年の採用は『うつ病予備軍』は入れないこと。メンタル重視で行こうな」
と軽く言いますが、具体的に何ができるのでしょうか。
   入社希望者をこれ以上フィルタリングするためには「ストレス診断」のようなテストをさせて、うつ病予備軍を調べる方法もあるかもしれませんが、本当に抑うつ状態になる人をなくせるのか、テスト結果をもって求職者を排除できるのか不安もあります――

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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