2024年 4月 26日 (金)

仕事の成果は「取り組んだ時間」に比例するか

   仕事を頑張ってみたものの、ふと思ったような成果が出そうにないと思った瞬間、やる気がスッと失せていく――。そんな若手社員によく会います。先日会ったネット広告会社に務めるAさん(26歳)も、そんなひとりでした。

「この気持ちは、どうしようもないのではないでしょうか?」

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背景にある「謙虚さ」と「目標へのこだわり」

成功のカギは「謙虚さ」と「目標へのこだわり」
成功のカギは「謙虚さ」と「目標へのこだわり」

   成果とは、自分の能力と努力、それから周囲の環境や時の運との掛け合わせで出てくるもの。

   あきらめがいいのは、ある意味で自分の身の程を知り、置かれた状況の限界を知っているからとも言えます。ムダを嫌った考え方のひとつでしょう。

   任された仕事のレベルがあまりに高すぎるとか、自分の業務範囲を明らかに超えているとか、ムリな要素が入っているときには、「やるだけムダ」と諦めるのも、ひとつの見極めかもしれません。

   ただ、そんな様子を上司は、「なぜムリとかやめたとか簡単に言うのか」と不満に思って見ているのではないでしょうか。

   というのも、先日ある有名金融グループの創業者、Bさんと若手社員の前で対談させていただいたときの、印象深い話を思い出したからです。彼曰く、

「仕事の成果は、取り組んだ時間の長さに比例して出るものだ」

   常日頃ダラダラ仕事はいけないと考えている私ですが、彼の真剣な表情と、これまで上げてきた実績を見て、確かにそういう面はあるなと思い直しました。

   あらためて考えてみれば、集中力の問題を別にすれば、取り組んだ仕事の長さに比例して、仕事の成果は上がるのは当然です。

   Bさんは、なぜそのようなことをおっしゃったのか。その背景には、聞き手の若手社員に対して「謙虚さ」と「目標へのこだわり」を伝えたかったのではないかと思います。

「成果は簡単には上げられない」という認識

   Bさんの言葉から、まず感じられるのは、いくら優秀な彼をもってしても、

「自分には簡単に仕事の成果を上げられない」

という、あきらめのような確かな認識です。

   この点では、冒頭の若手社員と、あまり変わらないように見えます。

   違うのは、その先の、「だからやめる」のか、「だから粘り強くやるしかない」のかという点です。取り組んだ時間の長さが成果を決めるという言葉は、彼が持つ頭のよさや要領のよさを超える、愚直さの大切さを表しているのでしょう。

   とはいえ、その粘り強さを誰もが持つことができれば、苦労はありません。それを持続することを可能にしているのは何でしょうか。

   おそらく、彼が抱く目標やビジョンの大きさと、それに対するこだわりなのではないかと思います。

   ビジョンは、ただ大きければいいというものではありませんが、自分が「こうやりたい」「こうなりたい」と思うことを自分で決めることができ、それを実現可能なレベルで適切に分割して、そこに至るステップを描き、着実に実行する――。実現への道のりが長いからこそ、「取り組む時間の長さが必要」と言えるのでしょう。

会社の指示以外の「自分の目標」が書けるか

   私が以前取材した若手社員の中でも、周囲が「ムリ」とあきらめる状況で、ひとり粘り強く仕事を続け、頭一つ抜けた成果を上げたCさん(27歳)がいます。

   彼は成果を上げる秘密を「目標の第一歩として誰よりも早く管理職になることを目指しているので、仕事をたやすく放棄する気持ちにはなれません」と言っていました。

   つまり、仕事を通じて目指す目標があるから、粘れるのです。

   そこまで粘れない人たちの多くは、口では「いい仕事をしたいですね」とは言うものの、内心は「いまの生活が維持できれば幸せ」なのでしょう。

   もちろん「それで何が悪い」という指摘もあるでしょうが、粘るべきときに粘れなければ、「普通の社員では生き残れない時代」には脱落します。

   ちなみに、粘れる社員の多くから、自分の目標を手帳などに書き、ときどき見返すと聞きます。会社からの指示だけではなく、手帳に書けるような自分なりの目標を持つことは、「稼げる人」になる第一歩だと思います。

高城幸司

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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